現在私が使用しているメインPCがLGA2011-3時代の2CPU構成であることから、サーバやワークステーション的な構成も結構情報収集しています。
そして、その中で割とコスパ良く100スレッドオーバの構成が作れそうだったので、備忘録的に書いておきます。
恐らく私は採用しない構成ですし、実際に組んだ訳でも無いので、あくまで机上の計算である点に注意してください。
条件としては中古あり、Win11への対応可、一応オーディオ用途も考えるという辺りです。
【手段その1】一部パーツで中古を交えて自作
マザボ:Supermicro X11DPH-T 中古なら6.5万円前後、新品なら14.5万円前後
CPU:Xeon Platinum 8180 28C56T ヤフオクで中古が2個セットで8万円程度。気にしないならAliExpressでも探せる。
CPUクーラ:noctua NH-U14S DX-3647 ソケットがLGA3647である事に注意 1.7万円×2
メモリ:DDR-4 2933 ECC 16GB*4 ヤフオクで1.15万円ほど。これを2×2で使うか、2セット買って4×2で使う。
GPU:ピンキリなので各自必要な物を。コスパ重視の一例としてRTX 4060程度なら5万円前後。
メインドライブ:M.2 SSDもしくはSATA SSDお好きな方で。新品でもそこそこ良い物で2TBなら2万円以内、1TBなら1万円以内。
電源:Thermaltake Toughpower GF3 1200W 新品で3.7万円ほど
ケース:E-ATX搭載可能なら何でも。そこそこ良いのなら2万円位はするが、1万円程度でも必要十分。GPUでハイエンドに行く気があるならそこのサイズも考慮。
TPM2.0モジュール:SuperMicro AOM-TPM-9670H Win11対応の為必要、4600円程度
OS:Win11 pro デュアルCPU対応のためにpro必須。あと、メモリの上限も結構違う。通常版で2.5万円、DSP版なら1.2万円程度。
一から組むことを考えて必要なパーツを全て挙げてみましたが、それでも最安を目指せば(中古を厭わなければ)35万円程度を見込めば足りるかなと。
これで56コア112スレッドのPCが組めると思えば、中古パーツを選んでいるとはいえまあまあのコスパでは。
CPUとマザボに関しては、企業のサーバ落ち品などが大量に出回る事があり、現在はWin11対応リストに入っているXeonも格安で沢山あります。
因みに私が現在使用しているメインPCもサーバー落ち品のCPUを使用した物ですが、普通に5年以上使えてますし、そこまで故障は気にしなくても良い気がします。
よしんば故障が発生したとしても、サーバー落ち品が払底するまでは安価で調達可能なので、まあ割と大丈夫なんではと思います。
マザボはSupermicro推奨。X11DPL-IというATXサイズの物もありますが、CPUのTDPが140Wまでなので注意。8180が205Wなので、ちゃんと対応の物を選びましょう。
また、SupermicroのX11シリーズ(LGA3647)はデフォルトでWin11インストールに必要なTPM2.0に対応していないので、専用の追加モジュールで対応します。
CPUクーラは上記項目でも書いてありますが、LGA3647対応品が必要な事に注意。また、TDP205Wと中々爆熱なCPUなので、冷却性能も高いに越したことはありません。
探した中ではそんなに価格差が無く選択肢も少ないので、それならば信頼のおけるNoctuaのサイドフローを選択するのが安心かなと。
メモリに関してもサーバ落ち品らしきものが大量に安価に出回っているので、かなりローコストで調達可能。ECC対応メモリが必要で細かく分ければさらに種類があり、LR-DIMMとかもあるのですがその辺りはお好みで。
グラボは一般使い用途なら普通にGeforceやRadeonで良いでしょう。明確な理由がない限り、Quadroとかを選ぶ必要は無いです。
メインドライブはまあ普通にSSDで。ここは新品を調達しましょう。大分安価になりましたので、態々中古を探す意味はほぼ無いです。Optane使いたいとかならその限りでは無いですが。
電源は以前Cybeneticsのデータを漁ってた時に見つけた、リップルノイズの少ない電源でコスパの良い物を。中古は有りと言えば有りですが、最も酷使されるパーツとも言えるので出来れば新品を選択したいところ。CPUだけで410Wもあるので、容量には注意。
因みに最近改めて調べてみたのですが、CorsairのRM750~1000xの2021シリーズは、既に新品在庫は払底した模様で中古しか出てきませんでした。
OSについては上記の通りpro必須。何のためにデュアルCPU構成にしたのかという話になりますので。for Workstationというエディションもありますが、高価な上普通に使う分にはあまりメリットが無いので、proで十分だと思います。
【手段その2】中古サーバを調達する
現在ヤフオクに沢山出ており、100スレッドを超える構成だと最安は21~22万円程度。Xeon Platinum 8180や同レベルの構成ならば概ね30万円程度を見込めば割と選択肢は豊富です。EPYCもありますね。
基本的にはOSまで込み(大体Win11 for Workstation)なので上記自作と比してお買い得に見えますが、基本的にサーバは冷却第一で静音については二の次という事が多いので(通常サーバ室に置きますし)、買ってそのまま使えるとはあんまり思わない方が良いです。
普通に家でメインPCとして使うなら、そこから自分で静音化しないと結構辛い可能性が高いので、相応に追加出費は必要だと見込んだ方が良いでしょう。
まあそうは言っても、新品定価は恐らく数百万レベルだった品のはずなので、そう考えればお買い得とは言えると思いますが。
という訳で、ざっくりではありますがある程度のコスパで100スレッドオーバを達成できる手段を挙げてみました。
最初にも書きましたが、自作に関しては私が組んだ訳では無いので、あくまで机上で考えた構成である点に注意してください。また、ある程度自作に慣れていないと、割と厳しい内容ではあると思います。
また、どちらの手段を選択するにせよ2CPUかつ多コア構成なので、アプリケーションがインストールできない、あるいは動作しないなどのエラーが起きることが有ります。
実際私も購入したそんなに特殊でもないソフトウェアでインストールエラーが発生し、サポートに質問を投げたら「そのエラーは把握してるけど対応する気はないんでよろ(意訳)」みたいな回答を貰ったりしました。
そこまでは行かなくとも、ある程度のトラブルは地力で解決できるスキルが無いと、詰まった時に厳しいと思います。特殊な構成なので、情報も少ないと思いますし。また、どうしようもなくて諦めざるを得ない場合もあると思います。
その代わりに、数世代前とは言えハイエンドクラスのワークステーションに匹敵する構成なので、まあロマンは有ると言って良いでしょう。
マルチスレッド性能に関しては2CPU構成なので、現在においても民生用のCore iとかRyzenで及ぶものはほぼ無く、競合はサーバ構成やワークステーション構成(Xeon、EPYC、Threadripper、Threadripper Pro)等になります。
なお、基本的に上記で挙げたようなXeonやEPYCの多コアCPUはマルチスレッド性能に特化しており、シングルスレッド性能は全然高くないのでその点注意。
どの位かと言えば、第6世代のCore i7 6700と同等位です。なので、実使用の面では意外と性能が良くないシーンも多々あると思われます。アプリケーションでも、多スレッドに最適化されていない物では厳しい事も多いでしょう。
因みに最新世代の最上位ならば、XeonもEPYCも超多コアかつシングルスレッド性能も大幅に改善されていますが、それらを安く調達する術は今のところないので言っても栓無い事ではあります。
Threadripper、Threadripper Proについては3000番台はシングルスレッド能力は旧世代XeonやEPYCの多コアCPUとほぼ変わらず、7000番台は最新最上位のXeonやEPYCと同等、5000番台はその中間といった所。こちらも私が調べた限りではありますが、安価に調達は難しそうです。
話を戻して上記100スレッドオーバの構成は、欠点は非常に多いし扱い難さもあるけれど、その分ロマンがあり、特定の用途では今なお一線クラスだとは思われるので、何かの参考になれば幸いです。
【余談】
旧世代のサーバ落ち品などがこれだけ出回っているのだから、シングルスレッド性能の高いXeonやEPYCの現行最上位もいずれ安価に買えるようになるのでは?と思ったあなたへ。
XeonやEPYCの現行最上位になるとTDPが350~400Wになるために、それらをデュアル使いししかもGPUも高性能な物を搭載すると、恐らく1600W電源ですら足りなくなります。
となると2000W電源を使うあるいは1000W電源を2つ使うとかになりそうですが、そうなると200V電源or100V電源30Aが必要とかになり、逸般の誤家庭に近付くのでかなり茨の道です。
冷却も静音化は多分無理でしょうし、何ならサーバ室を作って常に空調管理、かつ冷却ぶん回しみたいなことが必要になってくる気もするので、やっぱり逸般の誤家庭化する覚悟が必要な気はします。
そういう100スレッドオーバでシングルスレッド性能も高いみたいな世界は、たとえ価格が現実的になったとしても、それ以外の条件があまりに現実的で無いので、普通には組む機会は当分訪れないでしょう。
技術革新によりいずれ現実的な構成でそういう性能が達成できる日が来るかもしれませんが、それは遥かに先の話です。