日記 Audio PCの導入と 進捗その①

 Xでポストしていた通り、オーディオ再生専用のPC(以下Audio PC)を1台自作しました。
 これは、メインPCを送り出し母艦として使うには限界が見えていて、かと言ってオーディオ用に詰めるのも他の用途を考えた時に難しかったからです。
 ですが、実はメインPCもそれなりに長い年月使っており、こちらもそろそろ更新せねばならない状態。
 一応性能はマルチコア的にはまだそこそこ高い物の、シングルコアの性能の低さが気になる場面もちょくちょく有ります。
 CPUソケットがLGA2011-V3で、アップグレードしようにももうほぼ最高レベルの物を積んでいる(Xeon E5 2697 v4 ×2)ので、ほぼ更新のしようが無い。
 TPM2.0の対応すらしておらず(≒win11対応が厳しい)、グレードアップでは無く一新しなければもうどうにもならない状況です。

 こういった状況を鑑み、まずはAudio PCの経験を積むために、取り敢えずそこそこのラインを狙って組んでみる。
 その結果、後々新たにパーツの吟味から拘ってAudio PCを組むことにするならば、余った最初のAudio PCをメインPCにスライドさせる事にしました。その為に、いきなりガチの構成にするのではなく、ある程度の汎用性とコスパも重視する事にします。
 その為には、Audio PCとしての性能も狙いつつ、メインPCを担えるだけの性能も担保しなければなりません。とは言え、Audio PCとしての性能を狙う事は、ほぼ高い性能のPCを組むことと被るので、そんな無茶な話でも無いですが。
 結果として主に以下のパーツで組む異にしました。

マザーボード:Minisforum BD790i(CPU:Ryzen 9 7945HX)
・メモリ:DDR5 5600MHz 48GB
・電源:Corsair AX850 Gold→ Scythe 剛力3 700W
・PCケース:Abee AS Enclosure 550DT
・OS:Win11 Pro

 マザーボードはCPUと一体で売られている物で、交換等には対応していません。
 そこまで一般に知られている訳ではない製品だと思いますが、一部ではかなり話題になった製品で現状では売り切れとなっています。
 その理由は、搭載されているCPUのRyzen 9 7945HXがラップトップやミニPC向けの製品ながら、13世代のCore i 9や14世代のCore i 7とほぼ同等の性能を持っているからです。
 それにもかかわらず、通常時でも8万円を少し超える位、セール時を狙えば8万円を大きく切るという事で、非常にコストパフォーマンスが高いのです。
 同性能をデスクトップ向けのマザボとCPUで達成しようとすると、10万円を切るのすら難しいでしょう。マザボを限界まで妥協する、CPUは中古で買う、といった選択肢で何とかといった所でしょうか。
 フォームファクタMini-ITXですし、内容的にはミニPC向けのハイエンドという感じなので、Audio PCの方法論的にも悪くは無さそうです。
 もちろんマザボから拘ってそろえた方がAudio PCとしての性能が高くなるであろう事は承知していますが、今回はメインPCへの転用とコスパも重要な観点としてるので、良い落としどころだろうと。

 メモリについては取り敢えずマザボ対応で動作周波数が最も高い物をチョイス。32GBでも良かったのですが、48GBでもほぼ値段が一緒だったのでこの容量に。
 電源は手持ちの物を流用しCorsairのAX850 GOLDで行く予定だったのですが、組み上げた翌日に壊れるという事態になったため、間に合わせとしてこれまた手持ちに合った剛力3でお茶を濁しています。
 ここは早目に入れ替えたいところで、今の所HDPLEXの500W GaN ATXを導入予定です。
 iCatの電源を最初は検討していたのですが、調べる限りHDPLEXの電源と恐らく全く同じかつHDPLEXの方が4割ほど安いので、HDPLEXで良かろうと。
 電源のサイズが小数点以下まで同じで外観も多分ケースが違うだけ、説明内容がHDPLEXの内容をほぼ和訳しただけ、附属製品も種類と外観が一緒、出力の仕様も全く一緒なので、確証は有りませんがほぼ間違いないでしょう。HDPLEXから提供を受けて販売しているのかも知れません。

 PCケースは評価が高いAbeeからチョイス。現在はAbee自体がもう無くなってしまったようなので、ヤフオクに出品されていた物を購入しました。
 このケース、所謂変態ケースと言われるジャンルに属する物で、ケース内に2つのシステムを搭載できるという変わり種。
 フォームファクタは小さい方がMini ITXのみ、大きい方はMini ITX~ATXまで対応しています。勿論電源も二つ搭載可能。
 人によっては意味の分からない仕様なのでしょうが、メインPCとAudio PCを分離し、かつ一つはMini ITXのシステムになる事が確定している私にとっては、これ以上は無い位に目的にマッチしたケースだったのです。
 一応現在のメインPCのフォームファクタがE-ATXなのですぐに統合することは出来ないのですが、後々Audio PCを更に新調しBD790iをスライドさせるにしろ、メインPCの方を新たにを組むにしろ、いずれにせよATX以下になる事が確定しているので、その時に統合する予定です。
 OSの説明については特にすることが無いので省略。

 GPUについては現状では7945HX内臓のGPUで行きます。電源の容量とも絡むので、追加でグラボを入れるにしても後々ですね。
 一応マザボにはPCIE 5.0×16が一つあり、更にこれを×8×8や×8×4×4にして使うことも出来るので、結構選択肢は広いです。
 他にはCPUクーラーについてはひとまず附属のヒートシンクに、手持ちの12CMの25ミリ厚ファンを取り付けて運用しています。こちらはそもそも交換できるのかを含めて今後の課題ですね。

 これらは全てBFセールの時に買ったので、届くのにはやや時間がかかりましたが、特に大幅遅延するような事は無かったので既に届いており、組み上げやインストールも概ね問題なく済んでいます。
 組み上げた後にまずは要らないソフトウェアをアンインストール、と言ってもOSインストール後のプレーンな状態からなので、あまり有りませんでしたが。ついでにWindowsの機能からも要らない物を削除。
 ここまでやったうえで現在使用しているオーディオプレイヤーのTuneBrowserと、DANTE関連で必要なソフトウェアやドライバ等をインストールし、無事に音出しまで出来ました。

 この時点でのメインPCとの音質についてはほぼ互角でした。メインPCの方が若干微細領域の情報量が多いですが、ノイズ感についてはAudio PCの方が少ない感じです。
 なお、Audio PCの方はWiFiマザボに附属で付いているのですが、これをオンにすると、オーディオの経路には入っていなくとも悪影響が大きかった(恐らくノイズの増大)ので、常時オフにしています。
 これはM.2 2230 KEY Eで接続されており表面実装という訳では無いので、後々取り外すかもしれません。電源に影響してそうですし。

 ここからMonster Audioの記事を参考にBIOSの設定詰め。
 CPUがIntelではない、マザーボードがASROCKではないという事で設定項目の名称の違いは有りますが、内容を見れば大体どう設定すれば良いのかは応用できます。
 大まかな考え方としては、とにかく省電力関係の機能は全て切る、性能をブーストする関係の機能は全て有効にする、というのが基本だと思います。
 それ以外にも色々と有りますが、その辺りは機能の内容を調べて、適宜判断していく感じ。とは言えここでも考え方は大体同じでしょう。加えて、使う見込みのない機能で性能に関係しない物は切るという感じでしょうか。
 C.A.MについてはASROCKマザボ独自の機能ですが、他社のResizable BAR、Re-Size BARと同じ機能いう事です。これは、本来AMD環境でしか使えないSmart Access Memory機能をIntel CPUでも使えるようにする機能の模様。
 内容的にはGPUの効率的な使用に寄与する物らしいので、基本思想を踏まえればオンの方が良さそうですが、Monster Audioの記事では一応Disable、しかし判断は難しい、となっています。
 私は極限まで詰めるまでは行かなそうなので取り敢えずオン。また当該機能は、そもそもAMDの機能をIntelに転用するから微妙に不整合が出るのであり、AMD環境ならばあまり問題ないのでは?と考えたのもあります。まあ、ここは追々検証ですね。
 スペクトラム拡散については、記事に書かれている程ノイズ対策を詰める事はしない予定なので、切る予定は無し。こちらは設定が有るかどうかも調べてませんが。
 メモリのオーバークロックとタイミングの変更についても、現状では触る予定は有りません。これは性能と安定性・寿命とのトレードオフなので、現状では後者を取ります。

 BIOSの設定はひとまず暫定的にではありますが、これで終了。そしてこの時点で、メインPCの音質はちぎりました。
 まだ大差という程では無いのですが、一聴して分かる程度には差がついています。
元々ノイズ感は少なかった状態から、情報量、音の密度、実体感などが増し、メインPCの方で優位な点は無くなりました。
 まだまだやれることはたくさんありますし、検証予定の物も多いので、恐らくここからも大幅に改善されるはずです。まずは電源関係が優先でしょうか。
 因みに、DANTE環境だと送り出しPCの比較が物凄くやりやすくて助かります。何しろルーティングをDANTE Controllerから変えるだけなので、操作は2クリックするのみ。時間にして2~3秒程度で済みます。
 勿論ケーブル等の抜き差しも一切なし、ヘッドホンをかぶったまま、音楽も流したままでチェンジ出来ますので、結構厳密な比較が可能です。
 これからはいよいよプロセスのカットに入っていきます。進捗については、また切りのいい所で投稿したいと思います。