さて、以前から取り組んでいた本格水冷システムの構築が終わり、運用も問題無さそうなので紹介します。
ホースの取り回しが終わってるのは許して……

そもそもの取り組みの発端は、以前組んでたBD790iのシステムで、クリアランスの問題で水冷以外のCPUクーラーとCorsair RM750x 2021の電源を共存させるのが不可能だったことです。
とは言え、そもそもBD790iのCPUクーラーソケット一辺52mmの正方形という独自規格に近い物で、一般的に販売されているCPUクーラーや水枕はほぼ適合しません。
そんな中こういう商品を見つけ、適合しそうだったのでそれなら頑張って組んでみるかと手を出した訳です。
Amazon | コンピューター用GPU冷却水ブロック クーラーキットグラフィックス プロセッシングユニット用 赤銅ベース | fosa | 水冷システム 通販
因みにリンク先はアマゾンですが、送料が高かったので実際の購入はAliExpressです。どうせ中身は同じものですし、何なら上記リンク先の出荷元も中国なので変わらないだろうと。
その後なんやかんやあってBD790iが原因不明の死亡を遂げたので、結局運用にはたどり着けなかったのですが、取り敢えず件の水枕が適合する事だけは確認しました。
とは言えバックプレートなども無いので、マザボに直接ボルト・ナットで締結するという、少々危険な方法になりますが。
まあ、あんまり真似する人もいないと思いますが、もしやるならばプラスチック系のスペーサはちゃんと用意してやった方が良いと思います。水枕の金属部はそこまで硬くなく、割と簡単に曲がりマザボに接触する危険がありますし。
BD790iが故障したことでまた一から組み直しとなった訳ですが、7月にはLGA1851環境で本格的にAudio PCを組む予定です。
となると、このPCはオーディオ用途で運用するのは精々1~2か月程度で、その後はメインPCとして使う事になります。メインPCの方はCPUがWin11に対応しておらず、流石にそろそろ完全更新時なので。
と言いますか、それが理由でメインPCを新たに組む必要があり(今年Win10のサポートが切れる)、それならオーディオPCの方を新たにLGA1851で組み元のAudio PCをメインPCに流用したくなったと言った方が正しいですが。
その辺りも考慮して選んだのはBD795mです。BD790iと系譜は一緒で、搭載しているCPUも同一、価格もほぼ同じくらいでした。CPUの性能は非常に高く、それがマザーボードに組み込まれた状態で6万円台前半と言うのはやはりコスパが良いかなと。
BD790iと違っているのはフォームファクタがM-ATXなこと、CPUクーラーがLGA1700準拠な事、PCIE×16のバージョンが4.0な事、Wifiパーツが附属していない事、SATAが2つある事などでしょうか。SATAがあるので、光学ドライブやHDDを繋ぎやすいのも良し。
特にCPUクーラーがLGA1700準拠な事は非常に大きく、これで水枕の選択肢が一気に増えます。
という訳で、BD795mを調達し地味にメモリも刷新したりしつつ、CPUクーラーに直前に組んでいた水冷システムを流用しました。
目指すところとしてはファンレス水冷システムであり、それを可能にするにはどうするかを色々と調べました。
それで取り敢えず感じた事は、「本格水冷用に販売されている物だけで構築するのは難しいだろう」という事でした。という訳で別ジャンルから流用出来ないかを考えます。
当初考えたのは、車用のラジエータが使えれば楽勝じゃね?という物でしたが、流石に水路の径が違いすぎて断念。そんな中見つけたのがこちら。
ZS オイル クーラー キット トランスミッションオイルクーラー エンジンオイル冷却 アルミ プレート、フィン オイル クーラー 自動/手動ラジエーター コンバーター(8列、黒)
これはエンジンオイルやトランスミッションオイルの冷却用に販売されているパーツです。主にはサーキット走行とかを考えられている物かな?と思います。
これなら内径が9.5㎜のホースを準備すれば良く、PC用の水冷として考えても問題ないサイズです。
ラジエーター自体が大きくPCのケース内に収めることはまず不可能ですが、そもそもファンレス水冷システムなんてものを考えている時点で百も承知なので問題は無し。
価格的にも安価で、足りない場合新たに足すこともそんなに難しくなさそうだったのでこれに決めました。
なお、冷却能力は良い物なのですが、フィンの部分の角に手足をぶつけるとあっさり切れるのでそこだけは注意。
リザーバーはそこそこ容量のあるもので、ある程度安価な物という事でこれをチョイス。
uxcell 水冷タンク アクリルとPOM付き 1入力2出力 50 mm x 160 mm コンピュータCPU冷却用
ただ正直言って、この選択はあまり正解とは言えなかったかなと思ってます。
リザーバーとしての機能は全く問題ないのですが、台座の方の強度に問題があり、ちょっとした回数付け外すだけで把持する部分があっさり折れました。
なので、強引にゴムで止めて使っています。
ポンプについてはそもそもPCの水冷用に準備されている物にあまり信頼性を見出せなかったので、循環ポンプとして売られている産業用の物からこれをチョイス。
電源が付いている低雑音DC 12V太陽熱温水循環のブラシレスポンプ
能力の割に結構安価であり、寿命に関しても3万時間以上とかなりの物、そして騒音についてもあまり大きくなさそうという事からチョイス。
但し、実際に使ってみると色々と注意すべき点がありました。
まず、水の吸い込み口と送り出し口の継ぎ手に関して、ねじ込み式になっており水漏れ防止でパッキンも付いています。
とは言え、万が一にも水漏れするのが嫌だなと考えてシールテープも巻いたのですが、これが間違いでした。
本体は樹脂でできておりねじ込む部分も樹脂なのですが、そのネジ山の強度が低く、シールテープを巻いた後に継ぎ手をネジ込んだら本体側のネジ山があっさり潰れました。一応片方は上手く行ったのですが……正直言ってリスクが高いと思います。
幸いネジ山の長さには余裕が有ったので、潰れた部分を切り落とし、更にベルトサンダーで平滑を出して事なきを得ましたが、結構ヒヤッとしました。
という訳で、このポンプを運用する際はシールテープを巻いてはいけません。附属のパッキンだけで行きましょう。
もし仮に附属のパッキンを無くしてしまった場合、水栓補修部品の呼び径13用がサイズ的には同一でした。
あと、台座が附属しておりねじ止め固定出来るようになっていますが、試しに自作の棚に固定してみると共振で音が半端では無くうるさかったです。
色々と試した結果、台座を使わずにほぼ宙吊りのような形でスポンジの上に乗せるだけにすると、ほぼ無音になりました。
流石にもう少し安定させた方が良いとは思うので載せる台を後日作成予定。但し、やはり固定はせず乗せるだけになると思われます。
水枕については当初LGA1700用として発売されている物からチョイスする予定だったのですが、如何せんちゃんとした物は値段が高い。
どうにかならんかとあれこれ考えた結果、簡易水冷の水枕を流用しようと思いつきます。何せ、そこそこのグレードの簡易水冷一式よりも本格水冷用水枕が下手すると高かったので。
という訳で中古で良い物が無いかを探した結果、CorsairのH115i RGB Pluainumのジャンク品が格安であったのでこれをチョイス。元々はそこそこのグレードの品なので造りはそれなりに頑張っていると思われ、それが4千円というのは非常に魅力的でした。
古い製品なのでLGA1700対応は記載されていませんでしたが、LGA2011やLGA2066とは互換性がある事は調べていたので問題無し。
中古の簡易水冷は冷却水の劣化とかポンプの劣化など、そのまま使うには要注意なのでしょうが、用があるのは水枕部分だけなのでこれも無問題。何なら一体になっているポンプ部分も使いませんからね。
本当は継ぎ手の部分も変えられれば良かったのですが、継ぎ手の角度が自由に変えられる構造=ねじ込みの固定ではないという事で断念。
もし強引に外しに行って破損してしまった場合、適合する部品が有るかどうかも不明だったので、リスクが高過ぎました。
こちらの継ぎ手の外径は約6.5mmなので、使用できるホースは内径6mmが上限になります。元のシステムのホースとは径が違うので、この部分は変換を噛ませて繋ぎました。
因みにこの変換部分のパーツについては、コンプレッサーを用いるエアツールの継ぎ手用に売られている物を流用しています。
冷却水については、PCの水冷用の冷却水が異様に高いと感じたので、車用のエンジン冷却水を流用しています。
同じ様な目的で使われ、成分もほぼ変わらないみたいですし。但し、濃度は違うようなので少し薄めても良いかもしれません。
こちらはPC用の冷却水と比べれば極めて安価な上、入手性も抜群に良く、寿命もそれなりに長期間が見込めるので良いのではないかと判断しています。
とまあ最終的に見ると、殆どPCの本格水冷用のパーツが無い(リザーバ位)構成になりましたが、運用開始してみて取り敢えず大きな問題は無さそうです。
特に重い作業をやったわけではないのですが、室温35℃くらいの中で12時間ほど放置してもCPU温度は70℃台をうろうろしている感じでした。
PCの起動と水冷用のシステムが連動している訳では無いので別々に起動する必用はありますが、これも大した手間では無いので個人的には問題無し。
後は長期運用してどうかと重い作業をするとファンレスで耐えられるのかという問題がありますが、仮に耐えられなかった場合でも、実験後に手持ちのポータブル扇風機を弱で数分当てれば50℃台にあっさり落ちたので、まあどうとでもなるでしょう。
もしファンレスに拘るのならばラジエータをもう一基追加してもポンプの能力的には問題無く回せるでしょうし、コストも大したものでは無いのでもしかしたらその内追加するかもしれません。
とまあこんな感じで、色んな分野からパーツを流用して組んだので、中々癖の強いシステムだとは思いますが、性能の割にかなり安価に仕上がったのではないかなと思ってます。
私が調べた際は「本格水冷を組むなら高級PCをもう一台組むくらいの資金が必用」という人もいる位でした。
まあこの高級PCと言うのはちょっと昔の基準で流石に現在基準の金額では無いと思うのですが、それでも10万位は覚悟という感じなのでしょう。
実際に本格水冷用のパーツを、信頼のおけるメーカーから選定して組めば確かにCPUだけの水冷でもそれくらいかかりそうでしたし、GPUまで含めれば間違いなく超えるでしょう。
一方、私が今回組んだシステムは全て合わせて2万円でおつりが来るレベルです。試行錯誤が有ったので実際にはもうちょっとかかってますが、それでも2.5万円はかかって無いでしょう。
まずは専用のパーツで組んで慣れてから取り組むべき内容だった気がしないでも無いですし、細かなトラブルはそこそこあり色々と試行錯誤が必用だった部分も有ります。
実際に他人に勧めようとも思いませんし、万が一真似したいと言う人がいてもくれぐれも自己責任でとしか言えませんが、個人的には苦労して取り組んだ価値は有ったかなと思っています。