日記 性能は良いけどつまらない?

 時折私はオーディオ界隈でよく言われることでも、さっぱり意味が分からないことがあると何度か書いてきたように思います。
 今回の記事もその一つで、「性能は良いけど聴いていてつまらない」という表現です。
 少なくとも、私はこれまで様々な機種を聴いてきましたしある程度所有もしてきましたが、性能は良いけど聴いていてつまらないと感じる機種に出会った事がありません。
 一応基礎性能の割にまとめ方が上手くなく、どこかちぐはぐという機種をいくつか聴いたことはありますし、好みが合わないと感じた機種もありますが、ある性能の高い機種が他の性能が低い機種よりつまらないと感じたケースが無いに等しいのです。
 むしろ個人的には、聴いていてつまらないと感じる機種は、単純に性能が悪い(情報量の引き出し方に問題がある)だけでは?と感じます。
 因みにここで言う性能とは概ね基礎能性能、例を挙げると情報量、音場関連(広さと定位)の能力、帯域バランスと周波数的なレンジ感、S/N比、ノイズや歪み感の少なさ、分離能力、音色の描写といった要素です。
 まあ、突き詰めtるとほぼ全ての要素は情報量に帰結すると言えなくもないですが、一応私はこの辺りを基礎性能と捉えています。
 基礎性能以外の部分としては全体のまとめ方とか、再生環境への追従性、場合にも寄りますが脚色の活かし方等があるでしょうか。
 他には未確定要素として、微細領域の情報量がここに含まれるかどうか。これまでは情報量の要素に含まれると思っていたのですけど、どうもそれだけでは無いと思えるケースがあって、一応検証事項となっています。

 これについては、私自身のオーディオの辿ってきた道に関係している部分も大きいとは思います。
 私はかなり早い時期からPCオーディオを始めており、その頃はUSB DACというジャンル自体が存在せず、特に民生機ではほぼ存在していませんでした。もちろん、USB DDCも皆無に近かったです。
 そんな状況でPCオーディオをやるには、スタジオやDTM等で使われいるオーディオインターフェースを使わざるを得ませんでした。
 因みにこれは現在に至るまで、特にDACやPCとのインターフェースはにおいては、いわゆるスタジオあるいはDTM向けと言われるようなプロオーディオ界隈の製品を使い続けています。
 このジャンルにおいては基本的に脚色や色付けが忌避され、ある程度傾向の違いはあれど、価格帯を問わず殆どの機種が忠実性に重きをおいています。
 そのために、大抵のケースにおいて性能そのものを上げることが、より音楽の魅力を引き出すことに繋がっています。
 私がオーディオにおける基礎を形作る段階において、メイン環境がそっち系だったために、脚色や色付けを基本的に好まなくなったのだと思います。
 そして、巷で言われる「性能が良い訳ではないけれど聴いていて楽しい」という機種は、色付けや脚色、あるいは全体的なまとめ方が上手いという事なのだと理解しています。
 ですけど、私は一般的にそういう捉え方をされる機種について試聴をしたこともありますが、その良さを実感したことはほぼありません。少なくともそれが、性能差を覆すレベルだと感じたことは皆無です。
 あくまで同程度の性能の内で、この機種はこの用途あるいはジャンルに向くとかその程度だと判断しています。
 まあ単に私の好みにあってないだけだったり、私が単純に基礎性能が高い機種を好むだけという話もあるかもしれませんが、さりとて性能差を覆すほどの脚色や色付けがあるかと言えば、個人的にはかなり懐疑的です。
 しかしながら、では脚色や色付けを完全に否定しているかと言うとそんなことも無いのですよね。

 その一番大きなきっかけとなったのは、2024年に参加したTIAS(東京インターナショナルオーディオショウ)で聴いた、Marten Mingus Septet及びそのシステムでしょう。
 高い忠実性を持つ機種ではあるのですがその中に明らかな脚色があり、ですがそれが極めてさりげなくまた確かな世界観(作り手の思想)を感じさせ、もの凄く説得力のある音だと感じたのですよね。
 そんな訳で今は、脚色や色付けといった要素は使い方によっては大きな威力を発揮するとも考えています。
 もっとも、それは基礎性能が一定以上にある場合において独自の世界観を演出するという意味で効果的であるのであり、足りない基礎性能をごまかす様な物では無いとも思っています。
 後者のような使い方の場合、割と極端な脚色や色付けを付加せざるを得ず、それで全体をちゃんとまとめるのは非常に難しいと思うからです。

 私は今の所、性能は良いけどつまらないというケースは、ほぼ無いかあっても極めてレアなケースだと考えています。
 性能は良いけどつまらないという内容を、何をもって性能が良いと言っているのか、どの要素が原因でつまらないと感じているのか、そのあたりをきちんと具体的に捉えれば、殆どの場合は実は性能が足りてないだけ、という結論に至るのではないかと考えています。
 つまらないと感じるという点は個人的な嗜好に左右される面が大きいと言われれば確かにそうなのですが、単純に好みに合わないこととつまらないと感じることはまた別であるとも考えており、その使い方には慎重であるべき、少なくとも何故そう感じるかをなるべく具体的に考えて言った方が良いと考える次第です。