2024東京遠征記① DAP試聴編

 TIAS2024に参加するために、7/26~29で東京に行って来ました(それ以外にも予定はあったけど、オーディオと関係ないので割愛)。
 せっかく東京に行くという事で、ある程度日程に余裕をもって、様々な試聴が出来るようスケジュールを組みました。
 今日からその辺りを順次アップしていきます。今回の記事はDAPの試聴編です。試聴させていただいたeイヤさん、ありがとうございました。
 試聴は、イヤホン本体はfinalの竹糸管弦を、ケーブルはnideon nmc-100を使用しています。

1.HyBi RS8

 音の全体的な素養云々の前に、まるでスロー再生しているのかと錯覚するほど音が遅く感じます。
 その違和感が凄くて、とにかく音楽を聴いて楽しむところまで行けませんでした。
 周波数的なレンジ感、音場、音の芯のクォリティなどは悪くありませんが、微細領域の情報量はあまり多くないです。
 しかし、この価格でポータブルかつオールインワンという事を考えれば、悪いとまでは言えないかもしれません。
 とは言え、最初に書いた違和感がそれらをすべて吹き飛ばす上に、聴いていて慣れるものでもないので、個人的には要注意機種だと言えると思います。
 少なくとも試聴必須で、多分ここに違和感を感じると他の要素での改善が極めて難しいので、どうしようもなくて泣く羽目になりそうです。

2.Hybi R8 II

 こちらはRS8に感じたような音の遅さは無く、普通に聴けました。
 確かにメーカーの謳い文句通り音場は広いですが、音と音の間の描写はかなり厳しい、と言うか殆どありません。
 その為に、音場が広いのが逆にあだとなりがちで、スカスカした印象を受けます。
 ぱっと聞いた感じでは高性能感がありますが、ちゃんと聞き込むとそこまで地力が高い訳ではありません。
 特に微細領域の情報はバッサリと落としたように出ていません。
 しかしながら、個人的には同社のRS8よりは少なくともお勧めできます。

3.SONY WM1ZM2

 正直言って、あまり感想を書きたくないと思うくらい微妙でした。
 まず低域と高域が盛られていてドンシャリ傾向で、音色も色付け・脚色が目立ち全体的に派手な傾向です。分離、音場の広さ等基礎的な素養はそこそこでしょうか。
 一番気になったのは音色で、ピアノがピアノの音をしていません。
 10万円未満のクラスならともかく、この価格帯でするべき音作りではないと感じます。

4.Cayin N8II

 所有しているN8 Brass Blackの後継機種ということで試聴しました。正当な進化系とも言えますし、逆に別系統の機種と言えなくもないと感じます。
 N8 Brass Black比で、脚色が減り、分離能力や音場関連等の基礎的な素養は改善しています。
 しかしながら、N8 Brass Blackで最大の魅力ともいえる音色の良さや、微細領域の情報量は若干退化しています。
 また、Nutubeによる駆動もN8 Brass Blackよりもかなり個性を消す方向へ振っていて、使い分けという点での魅力はこれまた減退傾向(バランスのみ試聴)。
 要は、他社の一般的なハイエンドのDAPと同傾向になる方向へ進化しているので、以前の機種がトゥーマッチだった人には刺さるかもしれませんが、魅力を感じていた人にとってはこれじゃない感があるかもしれません。
 とは言っても、他社との比較では音色の良さはまだストロングポイントではあるので、差別化要因とはなり得ます。
 しかし、これが気になるなら他社のDAPとではなく、何とかしてN8初代ノーマルかBrass Blackのどちらかと比較試聴した方が良い気がします。

5.A&FUTURA SE300

 基礎的な素養は悪くないですが、微細領域の情報はバッサリ出ていません。音色はかなり厳しいですし、音と音の間の情報も少ないです。
 端的に言えばかなりあっさり風味の音ですが、AKの中ではこれでもマシな方という評価が一般的なので、これまでの機種は一体どんだけよ?と思いました。
 とは言えトータルで見ると、実売価格を考えればそこそこ頑張っていると言えるかもしれません。
 特に最近は値引きが目立ち、機会さえ恵まれれば20万円を大幅に切る価格で新品を買えるので、それならばコスパは良いと言って良い気がします。
 但し、それでも人は選ぶ音だと感じるので、できれば試聴した方が良いように感じます。

6.A&ultima SP3000T

 音の基礎的な素養は今日聞いた中でも頭一つ抜けていると感じました。
 特に静寂さに関しては明らかに優位ですし、微細領域の情報もそこそこ拾ってくれます。
 音色や、音と音の間の情報も、今日聞いたDAPの中では頑張っている方だと思います。
 しかし、あくまでDAPとしてはというエクスキューズが必要なレベルであるとも言えます。
 少なくとも、同価格帯ですら無差別級で戦えるとまでは言えないと思いますので、その辺りは期待しすぎると肩透かしを食うかもしれません。

7.Fiio M17

 まず、そのあまりに大きさにに驚きました。最初裏側から見たときは、DAPだとは思わなかったです。ハイエンド帯のDAPはどれも巨大な機種ばかりですが、これは更に一回り大きかったです、
 個人的には非常に苦手な音なので、その辺りを割り引いて読んだ方が良いかもしれません。
 まず、音が全体的に人工的に感じます。極端な表現をすれば、アコースティックな楽器がまるで打ち込み音的に聞こえる傾向です。
 音色の表現はかなり厳しく、正直言って欠落していると感じる部分が多過ぎます。
 音の分離や音場の広さ、定位等は悪くは無いですが、前述の欠点をカバー出来る程では無いと感じます。
 正直言って、この値付けであればもう少し頑張って欲しいというのが本音です。

 まずはDAP編でした。次回はイヤホン編です。現在のハイエンド帯の、ハイブリッド型を中心に試聴しています。