日記 オーディオ用語の私なりの捉え方

 最近Xでふと何の気なしに発言したことが、思ったよりもあれ?と思う事が有ったので一度ちゃんと書いておこうかと。
 主に私がレビューの際に使う言葉を中心に、ヘッドホンを中心とした考え方ではありますが。

音場
 英語でサウンドステージと表現される概念。基本的には音が鳴っている空間全体を指す。
 単純に音の配置される広さだけでなく、その配置された音が広がっていく先や、音と音の間の空間情報も音場の重要な要素。
 音場の広さに関しては左右、上下(高低)、前後(奥行き)がある。全てが一定のレベルにありバランスが大きく偏っていない場合、「立体的な表現に優れる」と書く場合がある。
 特にヘッドホンでは奥行きを表現することが難しいようで、次いで上下、最も容易に見える(広い機種が多い)のが左右である。
 基本的には広い方が良いとされるが、左右だけ広く上下が狭く奥行きが無い、左右と上下は広いが奥行きが厳しい、等のように一部だけに広くバランスを欠くとそれが違和感に繋がったりもする。
 特に奥行きが感じられない場合は、「平面的な鳴り」と表現することが多い。
 私は、左右の広さはそこまでなくとも、上下と奥行き(特に奥行き)が表現できていてバランスが取れていれば、音場関連の能力は概ね高い方だと判断している。

定位
 音場の中で、楽器やボーカルなどがどの位置で音像を結ぶか、そしてその精度を表す。
 意外と音像の位置に揺らぎが合ったり、左右の不連続性が有ったりする(音が左から右に動く様な音源で連続性が途切れたりする等)。
 とは言え一定以上の機器になれば、余程分析的に聞くのでなければそこまで大きな問題になるようなことは少ないと感じるが、無意識の領域では意外と影響しているとも感じる。
 例えばこの能力が高いと音に安定感が有るように感じたり、何となく安心して聴けるように感じる等。

解像度
 個人的には本来の意味合いにそぐわない使い方と感じることが多く、基本的に使っていない。
 一般的な使用状況の意味合いを類推する限り、音の分離が良い事を表している場合が多いと感じる。
 本来の意味合いはビットマップ画像の画素密度の意味合いである。
 但し最近はディスプレイの表示領域の広さの意味合いで使用する人もいたりして、使う意味合いがブレていると感じることも多い。

分解能
 測定の分野で使われる用語で、測定の細かさの限界を指す。
 私はこの意味を転じて、再生機器がいかに細かい所まで見えるかを表す用語として使用している。
 実際の能力にあてはめると、概ね「音の分離」と「情報を拾い上げる能力(特に微細領域の情報)」の二つに大別されると考えている。
 前者は読んで字のごとしだが、音を混ざらずに分けて聴きとれるかという能力。
 音の輪郭を強調する、余韻を削る、音と音の間の空間情報(音場の周辺情報)を削るなどを行うと聴感上音の分離は良くなるが、今度は音同士が断絶しちゃんと混ざらなくなる事があるし、音像そのものの違和感にも繋がる。
 私はこういう手段で音の分離能力を高めている場合、見せかけの分離能力と表現することが多い。
 こういった諸々を切り捨てず、全体として音が調和し混ざりあっているけれど、細かく見ようと意識すればちゃんと分離している場合に、分離能力の地力が高いと表現することもある。
 微細領域の情報とは、音楽を表現する上で多岐にわたる種類がある。
 例えば音色表現(音色の多彩さ)、空間の周辺情報、時間軸制度、余韻の処理の上手さ等は微細領域の情報量に属する部分が多いと考えている。
 この能力が低くとも音楽は成り立つが、これらが充実するとガラッと印象が変わる場合も多い。
 個人的には、音楽が生き生きと鳴っているとか、音楽性が高いと表現される場合、この微細領域の情報の拾い上げ能力が優れているという事なのかなと感じている。但し、色付けや脚色が強い場合も割とあるので、一概には言えないが。
 読んでいて気付いた方もいると思われるが、両能力は一部相反する性質がある。もう少し具体的に言うと、情報量が増えれば増える程分離能力にかかる負荷が増す。
 その為に、どちらかを諦めているケース(大抵は後者)が多く、それはコストとの兼ね合いを考えると致し方ない所ではある。
 しかしながら最終的には、その両者をいかに高次元で両立させるかが非常に重要であると個人的には考えている。

ヘッドホンにおける曇りと籠り
 両者を混同して使用しているケースが多い様に見受けられるが、私は基本的に別の要素として捉えている。
 まず、籠りの方は密閉型の構造上の欠点を解消できず、音抜けが悪くなるという悪影響を解消できていない場合に使用している。開放型ではそもそも構造上音は籠らないので使用していない。
 また、単純に籠っているだけでなく、反響音が明らかに悪影響を及ぼし、本来ない響きを付加している場合には濁っていると表現することもある。
 一方で曇っているという表現は、単純に音にベールがかかっているような感じで音抜けが悪く感じる、素通し感が無い場合に使用しており、こちらは密閉型・開放型関係なく使用している。

 

 今回はひとまずこんなところで。他にも思いついたら折に触れ更新したいと思います。