日記 AudezeがSonyに買収されたようで

 先日ニュースになってましたが、AudezeがSonyに買収されたとの事です。
 これまでヘッドホン関連でこの手のニュースは、AKGSennheiser等の例のように、あまり前向きなものでは無いものばかりでした。
 ですが、今回のこのニュースに限っては、それらよりはかなり前向きな買収話なのかなと思ったり。
 理由としては、

・Audezeがガレージメーカー的な状態から始まり、現在もまだ大企業レベルには到達していないと思われる事
Sonyのオーディオ製品、特にプレミアム系統は継続性に疑問が残る事

という点があるように見受けられるからです。

 Audezeは現在のヘッドホン関連の企業、特にハイエンドを生産するメーカーとしては非常に評価が高く、製品の開発などについても大きな問題があるようには見受けられません。
 ですが、規模としては流石にSonyのように大きくは無いでしょうから、大量生産、あるいはその為の大規模な設備投資などはまだまだ厳しいでしょう。
 更に、企業を大きくしていくうえでのノウハウなどについても、既に大企業であるSonyから学ぶのは手っ取り早い方法ですし、大きなメリットに成り得る筈です。
 また、既に大きなエコシステムを築いているプレイステーション事業に、公式として製品を投入できるメリットも大きいでしょう(と言いますかこちらが本来の趣旨)。


 一方のSonyは、少なくともヘッドホンのフラッグシップクラスに関しては、あまり継続性が無いように見受けられます。
 MDR-10R、MDR-CD3000、MDR-SA5000、Qualia 010、MDR-Z1R等。
 これらはそれぞれの時代でフラッグシップを担った機種ですが、どれもフラッグシップとしては結構唐突に出てきたように思いますし、前後のつながりもあまり感じられません。同時期発売だったMDR-SA5000とQualia 010に関しては当然関連性がありますが……
 また、作った後も結構放りっぱなしと言うか、継続性のある開発みたいなものがあまり見えないんですよね。ローエンド~ミドルクラス辺りまでや、TWS、ノイキャン搭載機などはそうでもないんですけど。
 現行機種のMDR-Z1Rについても、後継はかなり怪しい気がしています。あくまで私個人の見解ではありますが。
 そこにAudezeを取り込むことが出来れば、しっかりと芯の通ったオーディオ事業が展開できるのではないでしょうか。
 まあ、本来の目的は平面磁界型の技術を持つ会社を買収することで、ゲーミング関連のオーディオ製品で他社と差別化する事なんでしょうけど。

 そんなわけで、SonyはAudezeに生産設備や品質管理あるいは規模拡大のノウハウ等を提供。
 Audezeはあくまで独立性を保ち継続性や一貫性のあるオーディオ製品の開発を行い、その一部はSonyブランドあるいはプレイステーションブランドととして提供される。
 そのような形で、お互いの弱点を補える関係になるのではないか、というのが今回の件の印象です。

 心配なのは、Audezeの製品開発にSonyがあれこれ干渉することでしょうか。
 今の所Audezeは今後も独立してオーディオ製品事業を行うという事なので、その点は当面は大丈夫かなと思いますが。
 という訳で、少なくとも今回の話についてはお互いにウィンウィンの買収劇なのかなと捉えています。
 とは言え、あくまで当面はそう見えるというだけではありますし、今後の両者の動きに注目したいところです。