時折見かける表現でいつも首を傾げるものの一つに、「ハイエンド製品は個性が強い」という表現があります。
スピーカーオーディオ関連については経験が浅すぎて分かりませんが、ヘッドホンオーディオにおいてはこれはむしろ逆だろうと思っています。
少なくとも低価格帯のヘッドホンと比べれば、遥かに差は少ないだろうと。
どのヘッドホンもハイエンドになればなるほどかけられるコストも、開発時間も多くなります。
そしてそういった世界では、基本的には選択と集中ではなく全てを兼ね備える方向で開発が進められることが多いです。
選択と集中とは基本的にリソースが限られる弱者の戦略であり、リソースが潤沢に使える領域では全方位で勝負する方が圧倒的に有利だからです
勿論、ハイエンドと言えど無尽蔵にコストをかけられる訳では無いですし、完璧な技術がない以上どこかでトレードオフは発生します。
ですから、最上位の機種間でもそれぞれに個性があり、同じ音をしているという機種はまずありません。
また、各種性能の到達点が高い事から、それぞれの個性が強く意識されてしまうという事もあるでしょう。
ですが、その結果を丁寧に見て行くと、大抵の場合万能+個性という具合に仕上がっていることが殆どです。
弱点として挙げられる部分も致命的なレベルになっていることは少なく、大抵の場合他の機種に比べれば気になるだけで、レベル自体は高い水準にある事が多いです。
まあ、近年ではそうとも言い切れない機種もちらほら出てきたように思いますが、それは選択と集中の結果と言うよりは開発の問題の方が大きいと思われます。
実際に製品紹介では、明らかにオールマイティを目指していた事が分かる内容になっていましたしね。
レベルが高くなればなるほど、僅かなバランスの違いが結果に大きな差をもたらすことは往々にしてあります。
けれどそれは、大抵の場合高い水準でバランスが取れている上での違いとだという事は、しっかりと認識していた方が良いと考えます。。
多くのレビュー等を参考にする場合は、その辺りを調整して読む方が概ね間違いが少ないと思っています。