リケーブルの本体側端子色々 ヘッドホン編

 最近ポタ環境の整備の優先順位が上がって来て、イヤホンについても色々と調べるようになりました。
 そこで、ケーブルが脱着式のイヤホンの端子種類が紛らわしいなと思ったのですが、ヘッドホンも良く考えてみれば大概酷い状況です。
 ただ私が日常的にヘッドホンの情報を追っている影響で慣れてるだけで、イヤホンメインの人から見るとヘッドホンの端子が紛らわしい、何とかならんのかと思っている事でしょう。
 そこでざっとではありますが、本体側端子で採用されている物を纏めてみようと思います。
 書いていて思ったよりも長くなったので、ヘッドホン編とイヤホン編の二つに分けます。

 

ヘッドホン

 

TRS 3.5mm片出し(所謂3極ミニプラグ)
 基本左出しが多い、そのままではバランス接続への変更は不可。
 昔から採用しているヘッドホンは多数有ったが、当初は断線時の交換、長さの調整、ストレートとカールコードを交換する目的等が多く、音質目的のケーブル変更は殆どなかった。
 現状でも、音質改善目的のリケーブルは少数派だと思われる。それが検討されるレベルの価格帯のヘッドホンで採用例が少ないとも言える(バランスへの変更の難しさがネックになる)。

 

TRS 3.5mm両出し
 最近のHIFIMANは大体この形式。ヘッドホンにとっては馴染みのある形状の為、採用するメーカーが多いかと思いきや実はそうでもない(それでも多数派ではあるが)。
 篏合部に特殊形状やネジ込み等が採用されている事もあり、意外と相性問題が出ることが多い。同じ3.5mmなのにボディ側の干渉問題で使えないという事態が割と良く起こる。

 

TRSもしくはTS2.5mm両出し(所謂3極もしくは2極のミニミニプラグ)
 HE1000が出てからの数年間HIFIMANが採用していた。他にもゼンのHD700、Focal Clearシリーズ等が主な所。他にもそれなりに採用するヘッドホンが有ったように思う。
 最近では減少傾向に見える。なお、2極だったり3極だったりメーカーや機種によって違ったりするが、どちらも2極しか使っていない為殆どの場合互換性がある。

 

TRRS2.5mm(4極ミニミニプラグ)
 ソニーのMDR-1Aシリーズで採用されている。他にもあるかもしれないが私は知らない。
 片出しでバランス接続のケーブルが作成できることがメリット。

 

mini XLR3ピン片出し
 AKGでK702等多数とPioneerの機種で採用例がある。他には私は見た事がない。
 片出しで3極なのでバランス接続への変更は不可だが、TRS 3.5mmよりも接続の信頼性が高い。

 

mini XLR4ピン両出し
 MEZE、DCA、Audeze、Kennerton等の上位~最上位クラスで採用されている。
 海外のメーカーで平面磁界駆動型のハイエンドクラスを使用する場合はかなりお馴染みの端子だが、そこ以外での採用例は少ない。
 何故か4ピンが使われるが、その内の2ピンしか使っていない。
 とは言え、TRSとTSプラグの関係とは違い、ピン数が変わると配列形状が違い互換性は無いので、間違って3pin mini XLRで作ると悲劇が起こる。

 

sma-p端子 両出し
 HE-6、HE-500等のHifimanのヘッドホンの初期の頃の一部機種で使われていた端子。
 オーディオでの採用例は他で見た事は無い。主な用途は高周波用の同軸ケーブルらしい。
 正直、作りから見てもメリットが分からず、何故採用されたか謎。個人的に一番マイナーな端子だと思っている(採用機種を所有しているが)。
 存在自体を知らない人も多そう。

 

Lemo 2pin 0B 両出し
 Focal Utopiaで採用されている。他には多分採用例は無いと思う(あったらすみません)。接続の信頼性と言う意味では高いと思う。
 Lemo社の端子はサイズ別、極数別に実に多様な種類があり、しかもぱっと見た目だけでは判断がつかない場合が多い。
 Lemo端子というだけで判断すると痛い目を見るので、検討する場合はちゃんと詳細まで確認しよう。

 

Lemo 2pin 00
 Ultrasone Edition 8 EXで採用されている。他の採用例は分からない。
 Utopiaとの互換性は無い(大きさが違う)。また、後述するHD800ともサイズは殆ど一緒なものの互換性はほぼ無いらしい。
 少なくとも相互で入れ替えて使おうとすると、端子がすぐに滑り落ちたり、逆に硬すぎて差し込めなかったりと実用は無理なレベルとの事。

 

Lemo 4pin 両出し(サイズは調べられず)
 Warwick Audioのヘッドホンで採用されている(日本での取り扱いがあるのはBravura、Sonoma)。
 だが、静電型でバイアス電圧もWarwickしか採用していない電圧の為、音質向上用途のサードパーティー製は無いと思った方が良い。
 自作もちゃんと知識が無い場合は危険。余程の自信がある場合を除いて、純正を使った方が無難。

 

Lemo風2ピン 両出し
 HD800系、HD820で採用されている。Lemoと形状が似通っているが、実質はゼンハイザーの独自端子なので、UtopiaともEdition 8 EXとも互換性は無い。正式名称も多分ない。

 

バナナプラグ 両出し
 Austrian AudioのThe Composerで採用されている。
 公式の説明ではオープン規格を採用することで自作を容易にするという事だが、それならば既に採用実績のある(かつ採用例の多い)オープン規格にせえよと思ったのは私だけでは無い筈。
 個人的には、またケーブルを使いまわせない機種が増えた、混乱のタネがまた一つ増えたとしか思わない。

 

ゼンハイザー独自 2ピン
 HD600、HD650、HD25-1等で採用されているゼンハイザー独自の端子。たぶん正式な名称は無いと思う。
 最近では単体で部品が手に入る様になったが、昔はゼンハイザーの純正ケーブルを買いそこから端子を摘出するという地獄のような手段が取られていた。
 ……いい加減オープン規格使わない?

 

STAX独自形状
 SR-X9000がリケーブル対応となった事で採用された。
 静電型とダイナミック型では駆動の仕方が全く違うため、迂闊に共通規格の端子を採用しないというのは安全性への配慮からむしろ当然の選択だと思う。
 失敗学的に言えば、機器が壊れる可能性のある行為は、人が気を付けるのではなくそもそも起きないようにするべきだから。
 そういう意味で、最初から誤って規格に合わないケーブルを装着出来なくするというのはとても大切な視点である。

 

DCA静電型独自形状
 VOCEとCORINAで採用されている。こちらも静電型の為、独自形状の端子採用は当然と言えば当然。
 もう少し静電型のヘッドホンを出す会社が増えれば静電型同士で端子を揃える話も出るかもしれないが、現在の状況ではそれはまず無理だろう。

 

 私が思いつくのはこんな所でしょうか。
 もしかしたら他にもあるかもしれませんが、現在採用されている主な端子は概ね記載できたかと思います。参考になれば幸いです。