いきなりタイトルとは別の話から入るのですが、DVAS Model2の試聴がフジヤで開始されたみたいですね。
ヘッドホン祭の時に簡単なインプレを書いてかなり肯定的な内容でしたが、実はあれでもかなり抑え気味で書いたんですよね。
それ位には印象が良かったんですが、その後あまり話題にならない、と言いますかむしろネガティブな意見もあったりして、実は今回のフジヤ試聴開始にちょっとビビり気味だったり笑
結果的にはかなり好印象の方が多いようで、一人でほっと胸をなでおろしております。
もしかしたらヘッドホン祭では、ブースに用意された環境の内、CDプレイヤー+model1+model2の方があまり芳しくなかったのかもしれません。
私はそちらよりも明らかに簡素なDAP+アッテネータ+model2の方を聴いたんですが、むしろこちらの方がポテンシャルを感じられる音だったのかもなと。
さて、ここからは本題のゼンハイザーが中古購入品の修理を今後行わないという話題について。
これについては非常に残念に思いますし、コンシューマの企業に売却された影響でもあるなと感じました。
プロオーディオではアフターサポートも極めて重要なので、多分ゼンハイザー本社がそのまま継続していれば起こらなかった事態でしょう。
これと似たような話だな、と感じた事があるのは自転車(ロードバイク系)の販売店の話。
以前は自転車を購入したショップで修理や部品交換、メンテナンス等を行っていたものの、最近はその辺りのサービスを充分に提供するショップが減ったという話です。
理由は単純で、人件費を減らしたいから。
自転車を修理する、部品を交換したりアップグレードする、オーバーホールを行う、といった作業をするにはどうしたって専門のスキルを持った人間が一定数必要です。
そして、当然そういった高いスキルを持った人の賃金は高い。
ですが、新品の完成車を売るだけなら、ある程度鍛えればバイトでも出来る訳で、経済合理性を重視するならば販売の方に力を入れ、修理関連は縮小しようとなるでしょう。
恐らくゼンハイザーの本音もそこにあり、人件費削減のために修理関連の部署の縮小を行いたいのだろうなと個人的に思っています。
まあ、絶対に表立っては認めないでしょうけど、本音は当たらずとも遠からずの所にあるのではないでしょうか。
私はこの判断について、短期的な視点で見れば確かにある程度の利益は得ることが出来たとしても、長期的に見ればマイナスの面が大きくなるだろうと推測しています。
それは、潜在的な顧客の導線の一つを自ら断ったと思うからです。
ゼンハイザーの商品の中古品を買う人は、ゼンハイザーの商品が欲しいけれど、何らかの(大抵の場合は金銭的な)理由で新品を買えない人でしょう。
修理できっちり利益を取るなんてことは難しいでしょうから、そこにしっかりと手厚いサービスを準備することは、一見無駄にも感じてしまう行為かもしれません。中古品の売買ではゼンハイザーに利益が入らないので、余計に徒労感があるのかもしれません。
けれど、そういったサポートからゼンハイザーのサービスに満足感が得られれば、いずれは新品を購入するような優良顧客になるかもしれません。
これはまあたとえ話ですけど、そうでなくともアフターサポートの重要性は結構言及されることが多いです。
人があるメーカーのファンになる理由の一番は、製品の出来でもサービスでもなくアフターサポートの対応だとする意見すらある程です。
その一部を自ら切り捨てた以上、ゼンハイザー自体のファンになる人は減少していくでしょう。
そして、この話は何も中古品の修理だけにとどまらず、新品購入した人たちへのアフターサポートの質も、徐々に低下していくのではないかなと感じています。
これは、単に中古品のサポートをやめたというだけの話では無く、先にも書いた通りその裏に修理関連部門の縮小(人件費の削減)があると見ているからです。
個人的な今後の見立てとしては、ゼンハイザーがすぐに凋落するとまでは思いません。
ですけど、これまでのポジティブな評価は徐々に減ってゆき、それに伴い業界内のポジションも下がっていくだろうと推測します。
恐らく良くても時々良い製品を出すメーカー程度、悪い場合は要注意の余程の理由がない限り買わない方が良いメーカー、といった感じでしょうか。
多分、現ゼンハイザーの経営陣は、良い製品を出し続けさえすれば問題ないと思っているでしょう。
けれど、これまで得てきた地位をキープするのは極めて困難でしょうし、ここから地位を上げることは更に難しいでしょう。少なくとも、過去の歴史に学ぶとすれば。
まあ、あくまで辺境の一般人の意見ですので、与太話の類ではあります。
私自身ヘッドホンオーディオに本格的に足を踏み入れたきっかけが同社のHD650ですから、そういう意味で残念というか複雑な気持ちでもあります。
結果がどうなるかは、恐らくそう遠くない内に裁定が下るでしょう。
その結果がどうであれ、始まりのきっかけを貰ったメーカーとして、行く末をしっかりと見ていきたいと思います。