MSB Premiere Headphone Amplifier購入記

 紛れもなく私が購入した機器の中で最高額の商品であり、まだ慣らして数日ですが既に最も大きな衝撃を受けた機種だといってもよいでしょう。
 人によっては唐突に感じるかもしれませんし、やっぱりねと感じる人もいるかもしれません。
 今回は、何故今この機種を購入したのかについて書いていこうと思います。

 

1.きっかけは値上げの告知
 さて、知ってる人はあれでしょと察しがついている思いますが、MSBより価格改定(6月1日から)の告知が出たからです。
 そしてそれに伴い、同日に代理店のAXISSでも価格改定を行う旨が発表されています。ヘッドホンアンプで言うとPremiereで2.5割程、価格にして38万円程度の値上げであり、下手をするとハイエンドクラスのヘッドホンが1台購入できる値上げ幅です。
 MSBのヘッドホンアンプは何れ買いたいと思ってましたし、半導体アンプの優先度1位であり、システム全体で考えてもかなり優先度高めの製品です。
 幸いなことに今すぐ購入に動けるだけの余力はありましたので、どうせ買うことが決まっているのなら5月中に買った方が合理的です。

 では、私がMSB Premiere Headphone Amplifierを、価格改定があったからといって購入する可能性が下がるのか(代替機種にしても問題ないのか)?という事が問題になります。
 これについては「ほぼ間違いなく変わらないし、他の機種にすると自分にとってはかなり妥協が混ざる」と結論付けました。新品購入は難しくなるかもしれませんが、どうせ何らかの形で購入するだろうと。
 あとは、これより下のクラスのヘッドホンアンプがMSBから発売される可能性があるかということですが、これもまあ多分ないでしょうし、仮にあったとしても恐らく同じ系譜とはならないでしょう。
 なお、念のために言っておきますが、これはMSBのHPAが他社のHPAに比較して優れているからという意味ではありません。そもそも聴いたことも比較したことも無いのでそんなこと分かりません。
 ただ、私の希望においての優劣でしかなく、製品の性能ではなく自分の意思を曲げるという意味での妥協です。


2.明るい材料がありませんよ?
 そして、今回のMSBの価格改定は、原材料の価格高騰にしか言及していません。直近では大幅な円安がとかく話題になりますけど、この影響についてはまだこれからということです。
 今の日本政府や日銀の政策を見る限り、現在の円安状況が短期的に改善しそうな見込みは全くありません。ついでに言うと当面は経済が好転しそうな材料もあまりありません。
 更に、新型コロナウイルスの流行による世界的な物流網の混乱とそれによる輸送費の高騰、半導体の不足、化石燃料(エネルギー資源)の高騰、ウクライナ危機の影響等、リスク要因はたくさんあります。
 少なくとも、原価を低減しそうな要因は殆どなく、逆に増加させそうな要因はこれでもかと並んでいます。
 これは、何れメーカーや代理店が値上げする可能性こそあれ、据え置きまたは値下げに振れる可能性は極めて低いということを示していると考えます。
 そういった諸々を考えた結果、待てば待つほど状況は悪化するだけであり、下手をすると今新品で買う方が、後に中古で購入するより安いかもしれないとさえ予想されます。
 じゃあもう、今買うしかないでしょうということで、5月最後の週末にフジヤのセールが無いことを確認後、すぐに購入しました。

 

3.最悪の可能性は?
 ただ、上記の内容ですら、最悪の予想ではありません。それは、お金を出せるならまだ購入できるからです。
最悪の予想は、そもそもMSBのヘッドホンアンプが購入不可能になる事です。
MSBは間違いなくハイエンドオーディオメーカーであり、信頼性に重きをおいている企業だとは思います。
 ですから、ヘッドホン市場に参入したときに、生中な覚悟でなかったことは推測できます。
 しかし、現在世界中で広がっている半導体の不足を始めとした新型コロナウイルス関連の状況の変化は、どのように落ち着くのかがまだまだ見通せません。
 ロシアによるウクライナ侵攻に関しては、目に見えた影響はまだこれからといったところでしょう。
 状況がどのように変化するかは予断を許さず、ソフトランディングにこぎつけられれば良いですが、楽観的に見ても影響は相当に大きいでしょう。。
 MSBもヘッドホンアンプ事業からそう簡単には撤退しないでしょうが、コアの事業にすら悪影響を及ぼす事態となったとき、やはり真っ先に整理対象になるのはヘッドホンアンプだろう、と私は考えました。
 そもそも新品購入が不可能となれば、入手は非常に厳しいことになります。
 MSBの製品はただでさえ中古市場の玉数は多くありませんし、リセールバリューもかなり高いです。
 そのような状況ではプレミア価格すら付くことが予想されますし、下手をするとお金があっても購入できないかもしれません。
 もちろんこれはあくまで最悪の予想で、妄想と受け取られても仕方のない内容です。ですがそれでも、やはり多少無理してでも今買うべきだと判断しました。

4.実は少しだけ対抗馬が……
 実は、別でちょっとだけ悩んだ製品が一つありました。
 それは、海外のフリマサイトの一つであるUS Audio Martで、MSB Reference Headphone Ampliferの中古が出てたんですよね(というか今もある)。
因みにその時の価格は10500ドル(現在10000ドル)なので、円になおすとざっくりpremiereの新品税込み価格と同じくらいでした。
 もっともここに輸送費がかかりますし、オーディオ機器ですから関税はかからないものの、通関手数料と消費税がかかります。
 ですので、物凄く大雑把ですがプラス10万円~15万円位は上乗せされると考えなければならないでしょう(消費税は海外からの個人輸入の場合価格の6割にかかる)。
 それに加えて購入後に国内でサポートを受けられるかどうかも分かりませんし、有償修理が可能かも分かりません。ウェブサイトの記載を見ると、有償修理は一応大丈夫そうには見えますが……
 そもそも、そういった形で購入したものの有償修理を代理店に頼んだり、問い合わせしたりするのはどうなのと思うところもあり、海外の中古品を購入することは止めました。
 それら全てに目をつぶったとしても、これだけの高額商品を、海外のサイトで個人間取引で購入するという危険性がありますしね。流石に、何があっても自己責任と開き直れる金額ではありませんし。
 それでも少し迷ってしまう程度には、Referenceの音が気になっている、ということではあったのでしょう。
 もっとも、後から考えてみれば明らかに冷静さを欠いており、無謀でもあり、自分の望みというよりは欲に眩んだと表現する方が適当な気がしたので、やはり購入を止めて正解だったと思っています。

 

 以上が今回の購入に至った経緯です。音については後日改めて書きたいと思います。
 DA-N5以上に強敵な感があるので、全てを理解して書こうとするとどれだけ時間がかかるか分かったものではありません。
 ですので、感じ取れたことを随時書いていく形にしたいと思っています。