日記 私がaudio-technicaを見限った理由

 私は、現在ではaudio-technicaについて、オーディオメーカーとしては既に何も期待していない状態です。
 そうなったきっかけはいくつかあるのですが、これまでどのように追っていたのかについて書いてみたいと思います。
 なお、タイトルからも予想できるでしょうがかなりネガティブな内容になるので、オーテクが好きな方やそういったものが苦手な方は、ここで閉じることをお勧めします。

 私が最初にヘッドホンオーディオを始めたころ、どちらかというと海外のメーカーが評価される傾向にありました。
 そしてそういう雰囲気の中で、国内メーカーでも特にaudio-technicaについては色々と言われていましたし、中には誹謗中傷とも思える内容も多々ありました。
 当初はどちらかと言うとそういう空気が嫌いでしたし、縁があれば是非購入して確かめてみたいとも思ってました。
 そこから折に触れ試聴を重ねましたが、どいうにもピンとくる機種がありませんでした。A1000、A2000、W1000X、W1000Z、W5000等、密閉型を中心に試聴をしていましたが、どうにも惹かれる機種が無かったのです。

 これだけならば単に好みに合わなかったで済む話だったのですが、audio-technicaについて最初に不信感を持つ最初の出来事が起こります。
 それはATH-AWKTとATH-AWASの発表、そしてそれらの開発についての取材がメディアに掲載された事です。
 W5000の発売から10年以上経って出した後継機種なのに、結局W5000のユニットが性能が良かったという理由で同じユニットを使う事を継続。
 その他の技術についても、ハウジングは同素材の黒檀だし、パーメンジュール磁気回路やDADS等、W5000に採用していのと同じような物ばかり。
 要は、これだけ長い期間が空いたしかもフラッグシップクラスの開発にもかかわらず、中身は大して変わらないマイナーチェンジで、その割には値段はほぼ倍になっている。
 そしてそんな開発話を、堂々とメディアの取材に答えて記事になり、しかも全然問題とも思っていなさそうな姿勢が、私には信じられませんでした。
 個人的には、もうヘッドホン事業に大して熱量も無く、予算もあまり回っていないのだろうなというのが率直な感想でした。潤沢な人材と予算があってこの状況ならば、そっちの方がもっとやばいと思いますしね。

 とは言っても、結局大事なのは音ですから、実際には大化けしている可能性も無いとは言えません。ですから、ポタフェスで実際に両機種の音を確かめました。
 そして、特にAWKTの音にある意味衝撃を受けました。
 ピアノの音が痛すぎて聞けたものじゃない(多分高域が暴れてた)、密閉型特有の閉塞感が残っている、中域が濁っている、音の拾い方が変等など、あまりに聞いていてネガが多く、かと言って褒められるところは見当たらない。
 基礎性能は同価格帯において、密閉型としては、というエクスキューズを付けても恐らく平均よりも下の方に属する。
 しかも、その再生環境(アンプはP-750U)はオーテクが準備したもので、音源もオーテク側が準備した物しか使えないという条件。
 つまり、オーテク側がこう聞かせたいと考えて再生環境や音源を構築した結果、そのような音になっていると考えざるを得ない。
 因みに、AWASの方はまだ多少はマシでしたが、それでもまあ取り立てて注目する程の物でもない、というのが正直な感想でした。
 この経験と先の開発話を総合して考え、最早彼らはオーディオメーカーとして、音を追求する情熱はあまり無いのだろうと私は捉えました。

 それからしばらくして、2022年のオーテク60周年のATH-W2022についてのニュースを見て、なるほどこの方向に行くのだなと思いました。
 言い方は悪いかもしれませんが、今後はオーディオ機器とは言ってもラグジュアリー要素重視、どちらかと言えば工芸品的な商品を作って富裕層相手の商売をするのだと。
 そしてつい最近の鳴神関連の発表で、その傾向は今後も続くのだろうと結論付けました。

 このような経緯により、私はオーテクに関して、オーディオメーカーとしては既に見限っていますし、試聴などの対象になる事も無いでしょう。
 今後はまあ一般向けの商品もしばらくは頑張るのでしょうけど、新規性のある商品が出てくる頻度はかなり落ちるのではないかな、と予想しています。
 結局一度も機器を所有することが無いままだったので、どこかで1機種だけは所有してみようかとも思いますが、優先度はかなり低いので、そのまま買わない可能性も高いです。

 以上が、私のオーテクに対する関わり方、そして考え方の変遷です。
 オーテクを好きな方も多いでしょうし、そういう方達に大して何かを言いたい訳でも、否定したい訳でもありません。
 ただ私がオーテクの振る舞いからどう感じ、どう考えたかという事に過ぎませんから、私の価値観や好みが影響している部分も多いでしょう。
 それでもやはり、もうオーディオメーカーとしては信頼できる要素は少ないように感じますし、現在進行形で失い続けているように見えるのです。