真空管HPAを探すにあたり、まず最初に国内で情報を探したのですが芳しくありませんでした。 OCTAVE V16のレビューが一つありましたがあれは予算的に無理ですし、他にはcayin HA-300のレビューがツイッター上で僅かに合ったくらいです。 ですので、いくつかのルールを定め、海外も含め情報を探すことに。そのルールとは、
・ハイクラス(概ね30万円以上)で探し、できれば50万円前後にとどめる事 ・長い期間真空管HPAを作り続けているメーカーの商品から選ぶ事
の二つです。 これにはいくつかの理由があるのですが、両方とも真空管というものの特性に関連しています。 真空管は、半導体と比べればかなり尖ったというか、癖のあるデバイスだと思っています。そして、オーディオに限らずものづくりにおいては、そういった癖のある素材を使うと下限か上限に振り切れる傾向が強くなると思うのです。 また、真空管もそして真空管に必須のトランスも、電子回路に使用する素子としては高価な部類に入ります。これらを含めて考えれば、中途半端な造りでは下限に振り切れる可能性が大きくなると考えたの訳です。 更に、真空管自体がごく限られた分野でしか使用されていない現状では、ノウハウを蓄積するにも一筋縄ではいかないと想像されます。ゆえに、ある程度の期間作り続けているメーカーでなければ、使いこなすのは難しいのではないかと推測しました。 また、長い期間作り続けているという事はそれで商売が成り立っているという事で、それは商品として価値があると市場に判断され続けているという事でもあります。
そういったもろもろを考えた結果、ざっと次のメーカーが候補として残りました。
・Woo Audio ・Manley ・AudioValve ・Cayin ・Auris Audio ・Feliks Audio ・OCTAVE ・MalValve ・Eddie Current ・ALO audio ・山本音響工芸 ・イシノラボ
あまり詳細な記録を付けたわけではないので忘れているメーカーもあるかもしれませんが、大体この辺りだったはずです。 そして、購入のしやすさ、特に海外からの個人輸入ならば保証がしっかりしているか、有体にいえばpaypalが使える事がほぼ必須条件です。なぜならば、paypalは売り手の保証とは別にpaypal自体が購入保障のサービスがあり、もし売り手が補償に応じなくてもpaypalが補償を代行してくれる制度があるためです。勿論それを利用する際はこちらに非が無いこと前提ですが。
こういった諸々を考えれば、割とすぐに脱落するメーカーが出てきます。MalValve、Feliks Audio(私が探したときは日本で取り扱いが始まっていなかった)、Eddie Current等です。 また、OCATAVEも最初に書いた通り予算に合わなくて脱落、山本音響工芸さんもイシノラボさんも際どく求めるクラスのアンプが無くて脱落。Woo AudioやALO audioは日本で取り扱いされていますが、国内で買えるものは高すぎるかポータブルという事、国内取り扱いがあるメーカーを個人輸入するというのはどうなんだ、という思いもあり脱落。なお、Woo Audioについては、残留ノイズについての言及があったこと、ALO audio(Studio Six)は商品についてのメーカーの説明に納得がいかなかった事も理由です。
そのような感じで候補を絞っていく中、最も心惹かれたのがMaleyのAbsolute Headphone Amplifierでした。 Manleyはオーディオ界隈では聞きなれない人もいるかもしれませんが、レコーディング、ミキシング、マスタリング等の世界では知らぬ人はいないといっていいほど有名な真空管アウトボードメーカーです。価格帯も高価格~ハイエンドであり、真空管を使った機器において最も定評のあるメーカーの一つと言えるでしょう。 そんなメーカーが技術の粋を集めて作り上げた製品としており、また持っている機能も凄い。まず、アンプの形式をシングルエンドかプッシュプルかを切り替えでき、NFB量を0~10dbで調整でき、Manleyクオリティのイコライザがついているのです。 そしてこれは完全に個人的な意見ですが、デザインが本当に素晴らしいと思ったのです。 取り扱いもMassdrop(現在はDropに名前変わりましたね)でそこそこ信頼がおけ、paypalが利用できる。価格も予算範囲内という事で、購入に踏み切ります。 そして、これがトラブルの連続への入り口となるのでした。