ポタフェス秋葉原 試聴記 その3

ポタフェス秋葉原での試聴レビューの最後です。

 

5.cayin HA-300

cayin HA-300 現状日本国内でも買える高価格帯(50万円前後)の真空管ヘッドホンアンプという事で、一度聞いてみたかったために試聴しました。試聴にはKennertonのThrorを持ち込んでいます。但し試聴した際のブースの状況から送り出しは手持ちのAK100で行ったので、DACの力不足はあることが前提です。 まず、真空管のシングルエンドではありますが基礎性能は非常に高かったです。真空管で設計がまずいと低域が緩くなりがちとの事なのですが、これは全然そんなことはありません。しっかりと制動の効いた、締まった低域を鳴らします。 音場の広さ、音色の描写、音の定位、音の分離等も十分な能力があります。ですが全体的に若干色付けがあって甘目で華やかなトーンになっており、この傾向を好むかどうかで評価が変わると思います。もっとも、真空管アンプを求める人はむしろこの傾向を求めている人が多いでしょうから、好ましいと捉える人が多いかもしれません。 背景にややざわつきがあり更に音にまとわりつく感じがあって、背景の黒さはあまり感じられません。周囲の環境のうるささのせいじゃないかと思われるかもしれませんが、ほとんど同じ場所でAurender FlowでThrorを鳴らした際やAk100でイヤホンを鳴らした際には全く感じないざわつきなので、アンプ特有のものだと思います。これに関しては明確に本機種の弱点となる要素だと思います。 ですが、トータルのクオリティとしては価格に十分に見合った音を鳴らしていると思います。 あと、写真で見るよりも実物で見た方がかなり大きく感じました。購入を検討する際は、見た目の印象ではなくしっかりと寸法で確認したほうが良いと思います。

 

6.Final D8000 pro

(写真無し)

昨年D8000を試聴しているのですが、その時と比べてある程度経験を積んだこと、更に新しいproバージョンを試してみたくて試聴しました。但し、昨年はブースにマス工房のmodel406があったのですが、今年はアンプ自体を置いていなくて、手持ちのAurender Flowで駆動したのでその部分は違います。 昨年は多方で絶賛されている理由をつかみかねていたのですが、今回の試聴でようやく理解出来ました。全体域バランスよくかつ高密度な音で、情報量、音色の描写、音の分離、実体感、定位どれをとっても最高クラスです。 敢えて言えば音場の広さはHE1000seの方が広いと思いますし、やや重く装着感が良いとは言えませんが、逆にいえば注文を付けられそうなのはそれくらいしかありません。 低域の表現がやや苦しげでもたつきそうになるシーンもありましたが、昨年D8000ノーマルの試聴時は全くそんなことは感じなかったため、これはアンプ側の駆動力不足でヘッドホン側の問題ではないと思います。 素晴らしい音質なのは確かなのですが傾向がもろにThrorと被りますし、差も僅差な上Throrの方はケーブルでまだまだ詰められる要素がある(付属のケーブルがそこまで良いケーブルではないっぽい)ので、購入することは無いと思います。 ですが、現状で最も音が良いヘッドホンの一つとして良く挙げられるのは、やはり明確な理由があると思いました。 40万円前後のハイエンドヘッドホンの購入を検討するならば、買う買わないは別として必ず候補に入れなければならないヘッドホンでもあるでしょう。

 

試聴レビューは以上です。

最初にも書きましたが、あくまで試聴ですしブースによっては音源が非常に限られていたりもしたので、必ずしも厳密にチェックできたわけではありません。あくまでこんな感想を持つ人もいるくらいに受け止めてください。