先日東京に私用で行っており、空いた時間で試聴に行ってきました。
まずはeイヤで、私のポタのガチ環境(Cayin N8 > Current CSP943-1 > Cayin C9)に現行のDAPを合わせるとどうなるかの確認。試したのはA&K SP3000T、LOTOO PAW Gold TOUCH、HiBy RS8です。
どの機種もラインアウトの基礎性能はN8よりも高いと感じましたが、そこまで大きな差では無かったです。
また、SP3000Tは高域が少し荒く情報量も物足りない、RS8は音の滲みが気になる等明確な欠点が見えた部分もあった為、現状でリプレイスするレベルでは無いなと感じました(価格を考えれば猶更)。
PAW GOLD TOUCHは特に目立った欠点は無かったですが、N8と比較して差は小さいので、これまたリプレイスするような物ではなかったです。
という訳で、今の所上流については一旦保留。目下一番気になっているのはOnix Mystic XP1なので、これはその内MUSINのレンタルサービスを利用してみようと思います。
とは言え今回の結果を考えると、次世代の機種まで待たないと厳しそうな予感はしています。
次に最近気になっていたイヤホンの試聴。
なお今回のイヤホンの試聴は、全てCayin N8 > Current CSP943-1 > Cayin C9(HPPAモード)で行っています。
Campfire Audio Astrolith
最近発売された、平面駆動のデュアルドライバという中々無い構成のイヤホン。そのチャレンジ精神は素晴らしいですが、実際の音は厳しいと感じました。
低域はブーミー一歩手前で決して質は良くありませんし、高域は逆に音が固くほぐれない感じがあるうえに伸びもいまいちです。
ドライバごとの繋がりもいまいち良くないのか、中域が量的に不足していてドンシャリバランスですし、質的にも価格を考えれば不満が残ります。
トータルで見て、ちょっと煮詰めきれていない感が強かったです。
一応発売から1か月程は経っているので、試聴機がエージング不足という事も無さそうですし、そもそもエージングで解消できるような感じもしませんでした。
MADOO Typ821
以前にも一度試聴して非常に好印象だったのですが、私の現在のポタガチ環境だとどうなるか気になり再試聴。
しかし予想外に芳しくなかったです。特に高域周りの改善が殆どなく、伸びもいまいちでした。
中域や低域の改善も決して大きくは無く、基礎性能的に伸び代はあまり大きくない様に感じます。
ケーブルを変えればもう少し良くなる気はしますが、それでも早い所で頭打ちになりそうです。
Campfire Audio Moon Rover
Astrolithが芳しくなかったので、じゃあ平面1発の機種はどうなのかという事で試聴しましたが、こちらは好印象。
価格を考えれば基礎性能は悪くありませんし、全体的なバランスも良好です。
ですが手放しで褒められるかと言うとそういう訳では無く、また伸びしろがあるかと言われれば厳しそうには感じました。
eイヤ最後の試聴はXにポストし忘れたAustrian Audio The Composer。鳴らした環境は持参した上記のポタガチ環境(バランス接続)です。
まず全体的な感想として、やや寒色系・ドライな傾向はあると感じるものの、基本的には中庸と言える範囲。
最上位のヘッドホン群と比べると、微細領域があと一歩見えない感があって、そのの他の基礎性能含めて見ても明確に差があると感じます。
私の上記環境で鳴らしていても既にあまり伸びしろが感じられなかったので、据置で再生環境を詰めてもあまり伸びる感じはしませんでした。
ケーブル周りを詰めれば多少改善する気はしますが、それでも化ける感じはせず。
因みに、時間の関係でそこまで長時間試聴したわけではないので、時間経過による音質の変化の有無については確認していません。
ここからはフジヤエービックでの試聴。
Luxman P-100 Centennial
試聴用のヘッドホンを持っていなかったので、店頭にあったUtopia初代(ノーマルケーブルシングルエンド、中古品)をお借りして試聴しています。
アンプの機能を考えればシングルエンドでの試聴はその真価を測るのには向いていないとは思うのですが、Utopiaがアンプとしてのトータル性能を測るには最も向いていると思ったのと、個人的に良く知っている音であるという理由で今回はこれで。
因みに、Utopia SGは現在修理に出しているとの事で店頭にはありませんでした。
ぱっと聞いた感じはそこそこ高性能に感じるのですが、実際には色々と音が引かれているというか、出せてない部分があります(そのために分離とSN比が良いように感じる)。
特に微細領域の情報は、価格を考えれば致命的に出ていないと感じたのですが、これは再生環境のDACであるRME ADI2/4 Pro SEのせいなのか、P-100 Centennialの実力なのか、あるいは両方なのかは判断不能でした。
低域の量感こそそこそこありますが、Utopiaであの鳴りだと結構制動が足りなくなるヘッドホンが出てきそうな印象。少なくとも、しっかりグリップしている感じはしません。
全体的に癖とか脚色はあまり感じませんでしたが、音色の描写はそこまで上手いわけでは無く、細かい描き分けは苦手と言っていい気がします。前述の微細領域の情報が拾えていないのが痛い。
低域については特に茫洋とした描写で、音色の描写や質感は個人的には不満と感じるレベルです。
例えばエレキベースのスラップ奏法の質感が上手く出ていなかったり、そもそものエレキベースの質感がちゃんと出せていなかったりなど。打楽器関連(バスドラとか)も割と厳しいです。
とりあえず、今回のシングルエンドの試聴では色々と足りない部分が多いと感じたのですが、真価を発揮するであろうバランス駆動やダブルモノ駆動だとどうなるかと、どれだけ上流への追従性があるかが鍵でしょうか。
今の所私の暫定的な評価としては、現状の様々な製品の値上がりが進行した後の市場価格基準で、価格性能比はギリギリ及第点に届くかどうか、という感じです。
いくらバランス駆動やダブルモノ駆動の確認が出来ていないとはいえ、シングルエンドの音から別物になるとも考えにくいですし、Utopiaはそこまで駆動力は要らずその代わりにシステムトータルの実力が試されるヘッドホンなので、それであの音ならバランス駆動にした所で素性が物凄く変わるとは思えないのがその理由。
とは言え、上流への追従性が高い可能性はまだ残されているので、今後も機会を見つけて確認して行きたいなとは思います。