真空管アンプ探しの旅

私が最近買ったヘッドホンアンプはAudiovalveのSolarisであり、これは50万円以上のクラスの真空管アンプです。

これを購入した理由について今回は書こうと思います。

 

まず始めに、私は真空管については当初は全く良いイメージがありませんでした。

と言いますのも、私が調べた際には真空管アンプの音の良さを主張する人たちの多くがあまりに観念的であったことが理由です。

ですが、音楽制作についてどのような仕組みになっているのかを調べ(オーディオインターフェイスなどは実際に購入した)、その印象が変わります。

 

世の中はやれハイレゾだ、新開発のDACチップだと盛り上がっている中、音楽制作の現場(特にレコーディング)の世界では真空管のアウトボードやオールドマイク、オールドマイクプリ(ニーヴとかね)等が非常に重宝されているのです。

私は縁あって、音楽関連ではありませんが何人か職人の方(しかも国内でもトップクラス)と知り合うことができ、様々な話を聞かせてもらうことが出来ました。その際にとても感じたことは、彼らは極めて合理的な判断のもとに行動しているという事です。

自分の仕事にプラスになると思えばどんどん新しい技術や道具を取り入れますが、逆であれば最新技術であろうと絶対に採用しないのです。

そして、音楽製作の世界の職人と呼べる方々が現在においても使用し続けるという事は、ただの懐古主義などではなく厳然とした理由があると考える方が妥当だと思ったのです。なぜならば彼らはそれが仕事道具だからです。

真空管はまず素子として単価が高い上に、振動や衝撃に弱い、寿命もトランジスタと比べれば圧倒的に短い等、道具として使うには非常に不利な特性を持っています。それでもなお使われるという事は、それでも使う価値があると判断されているという事ではないでしょうか。

 

そして、その中で真空管のアウトボード(しかもハイエンド帯)を製作しているtubu-techとManleyという二つの会社のインタビューを読んでみると、非常に興味深い事が共通して書かれているのです。

曰く、「真空管の音が良い理由は歪みの質が心地よいからではない。そもそも、真空管を使ってもゆがみのないクリーンな機器を作る事が出来る。」との事なのです。

 

更に、私自身がちょっとした試聴で、しかもエントリークラスに近いレベルの製品しか聞いたことが無かったので、一度は所有して音を聞いて、それから判断しようという事で真空管アンプを探すことにしたのでした。