ポタフェス秋葉原 試聴記 その1

以前ツイッター等でも書いていましたが、ポタフェス秋葉原に参加しました。

その際に試聴した機種等のレビューです。記載は試聴順です。

試聴時は一応持ち込んだThrorをリファレンスにしながら行いましたが、どうしても試聴なので詳細については聞き取り切れていない部分があると思います。その点は割り引いて読んでいただければ幸いです。

なお、掲載している写真は試聴時に取り忘れて後で適当にとっているものも混ざっていますが、その辺りはご了承ください。

 

1.Hifiman JadeⅡ

一番最初に聴きました。試聴機はヘッドホンとドライバーがセットの物です。 ウェブ上で中々高評価だったので割と期待していたのですが、正直これは無いと思いました。明らかに付帯音が多いですし、全体域で強いリバーブがかかっているような音で、完全に色付けの音です。音場の広さ、音の分離、音色の描写等の基礎性能はどれをとっても同価格帯(アンプとセットで25万円前後)では良くて平均位でしょう。 私自身は購入時はそこまで試聴というものに重きを置いていなくて、ハイエンド帯とかでも未試聴で突撃するタイプなのですが(流石にレビューとかは調べますが)、これは本当に買う前に一度聞いてから決めた方が良いと思いました。 昨年Shangri-la jrを試聴していますが、あちらは非常に繊細ながらも余裕のある音かつ広大な音場(HE1000seよりも確実に広い)で、色付けなども特に気になることはなく素晴らしい音質だったために、JadeⅡがなぜこんな音になったのか疑問です。

Shangri-la jrを聴いて、その下位機種的な位置づけだと思っているとかなり裏切られると思います。個人的には、90万以上出してshangri-la jrを買うのはまだありですが、20万そこそこだろうとJadeⅡは無しです。 静電型のヘッドホンと言えば何と言ってもSTAXですが、所有している機種のSR-L300 Limitedと比べると、音傾向として全く違うので好みで左右される部分はあるでしょうが、それでも単純に基礎クオリティは普通にSR-L300 Limitedが良いと思います(ドライバはSRM-006taで比較して)。私が聴いた限りでは、JadeⅡが優位な部分は音場の広さ位しかありません。 私の現在のStaxの印象は透明感が最も売りだと思っていて、個人的にはそれに多少思うところもあるんですが、それでもJadeⅡの方を勧められる要素がありません。  以前のSTAXSR-404とかの時代)の虫かご型の音を、現在のSTAXとは全く逆の方向へ突っ走らせたらこういう音になるかもなとは思います。ですので、昔のSTAXが好きな人にはワンチャンあるかもしれませんが、それでもトゥーマッチという人の方が多い気がします。 現在のSTAXが好きな方には全くお勧めできません。無難にSTAXの中でグレードアップを考えた方が良いと思います。

 

2.Audio-Technica

・ATH-AWKT オーテクの新発売フラッグシップで恐らくW5000の後継ですが、正直このヘッドホンでどんな世界を表現したいのかが全然わかりませんでした。音場の広さ、分離、音色の表現等は一応同価格帯で平均的なものは持っていると思います。ですけど、大抵の要素に「密閉型としては」というエクスキューズが入りますし、全体的に音をまとめ切れておらずどこかちぐはぐな印象が漂います。 しかも密閉型ハウジングの反響音を制御出来ていないのか音に濁りがあって、数万円ならともかくこの価格帯でこれは駄目でしょう。これはこの後すぐに試聴したTAGO STUDIOのT3-01ですらしっかり対策されている要素です。 また音の質感がかなり固くて、これでピアノを聴くと物凄い辛いです。個人的には、フォルテ位の音でもヘッドホンを外したくなります。それらも相まって、適正音量で聴いていてもどんどんボリュームを下げたくなって、かなり小さな音で聴きたくなってしまいました。 TH900やMDR-Z1Rが発売される以前ならともかく、後発でしかも結構時間が経っているのにこの価格と出来なのはかなり辛いんじゃないでしょうか。アンプはLuxmanのP-750uでバランス接続で鳴らしていたので、アンプ部の力不足とも考えにくいです。 あと、ヘッドホンのケーブルが着脱式ですが独自規格なのは本当に勘弁してほしいです。独自規格にするくらいなら着脱不可にしてくれた方が遥かにましです。 こんなことをされると着脱式にしたデメリットだけが残り、メリットの部分が殆ど享受できないので全然意味が無いように思います。

 

・ATH-AWAS ATH-AWKTの一つ下のグレードという位置づけですが、基礎クオリティは殆ど差が無いと思いました。 音質傾向はAWKTよりブライトな音質で、特に高域の質感が良かったです。音が硬質なのはAWKTと一緒ですがブライトな傾向とマッチしていて、正直音としてまとまっているのはこちらの方なんじゃないかとも思います。 但し、AWKTよりもが音の濁りが多くて、これも恐らくハウジングの反響音の影響だと思われます。こちらもアンプはLuxmanのP-750uのバランス接続だったのでアンプの力不足では無いと思います。 個人的にはAWKTも含めて、W5000やW1000Zの後継として価格据え置きで実売価格も同等ならようやく検討していいかなという印象です。 現状の価格ではとても勧められるものではないと思いました。