さて、真空管HPAの候補を再選定するにあたり、以前書いた基準を多少緩めつつ絞り込んでゆき、最終的に以下の4つに絞りました。
・AudioValveのSolarisかLuminare ・Auris AudioのNirvana ・Woo AudioのWA-5LE
これらの機種の中でまず真っ先に候補から落としたのはWoo AudioのWA-5LEでした。と言いますのも、以前にもちらっと書いたのですが、無音時に聞き取れるレベルで残留ノイズがあるらしいのです。 勿論それは能率が高い機種に限られるとか、無音時に聞こえるだけで音楽が流れていれば気にならないとは書かれていましたが、私にはこれらはただのエクスキューズにしか見えませんでした。それが10万を切るような機種でならともかく、40万円近辺の機種としてはどうなのと思うところがあり、候補から脱落です。
次に脱落したのがAuris AudioのNirvanaです。 Auris Audioは今回の件で調べるまで聞いたことが無かった会社で、設立年自体が2013年と比較的最近です。ですが、海外では非常に評価が高く、HPAに限らず真空管を使ったアンプ造りで一定の評価を得ているようです。
また、デザインについて個人的には好きな方向性ではないものの、今回上げたものの中では客観的に見れば最も頑張っている会社ではないでしょうか? しかしネックになったのはあまりの情報開示の少なさです。基本的な特性すら開示していないというレベルではなく、入出力が3×Lineとかそういうレベルです(RCAかXLRかの記載すらない)。個人的には、最低限の仕様の公開すらまともにできていないと判断せざるを得ませんでした。そういった訳でどうにも好意的になれず、Woo Audioの次に脱落しました。
そして最後に残ったのがAudioValveです。 こちらも今回調べるまで知らなかったのですが、真空管HPA製作の歴史は現状では最古参の一つと言いていいのではないでしょうか。何しろ一番最初の機種が1982年ですから、実に37年前です。今のヘッドホンブームなんて影も形もない頃です。 しかも単にその時に出しただけでなく今日まで途切れることなく作り続け、機種もアップデートや新製品の開発を継続しており、海外特にアメリカやヨーロッパでは非常に評価の高いメーカーです。 ハイエンドの真空管HPA自体がそこまで多くないとはいえ、海外のレビューサイトなどで情報を探すと、お勧めの機種あるいは会社として最も良く目にするメーカーだと思います。半導体だと似たような立ち位置がViolectricですね。奇しくも同じドイツのメーカーです。
そして、その中でもLuminareとSolarisはAudioValveとしての集大成的な商品と謳われており、Solarisが現行フラッグシップでLuminareがその次のクラスです。どちらにするか非常に迷いましたが、Luminareだと買った後に後悔することが目に見えていたので、多少予算はオーバーしましたがSolarisを選択しました。