AudioValve Solaris レビュー

昨年購入したAudioValve Solarisのレビューです。

 

 

【基本仕様】 電源はEU仕様(230V)

 

【入力】

RCA5系統(1つはPhono MM専用) XLR2系統 オプションでUSB(DACボードは1000ユーロ) ※私はデジタル入力は未選択

 

【出力】

6.3mmヘッドホンアウト×2 3ピンXLR×2のバランスヘッドホンアウト(6.3mmとのコンボジャック) 4ピンXLR×1のバランスヘッドホンアウト STAX準拠の静電型ヘッドホンアウト(プロ・ノーマルバイアス両対応) XLRのプリアウト×1 RCAのプリアウト×1 スピーカーアウト×1

 

【その他機能】 ゲインの切り替え(0 or +8db) 左右バランスコントロール

 

【特性等】 出力(MAX):ダイナミック型 12W(220Ωロード時) 出力(MAX):静電型 480VAC 出力(MAX):スピーカー 8w

周波数特性:15Hz-100KHz 歪 み  :0.002%(1w 200Ωロード時) ※distortionとしか表記が無いので、THDなのかTHD+Nなのか不明

 

他にも多くの性能が公開されてますが、全てそ書くときりが無いので、詳細を知りたい方は公式を参照。

 

【帯域バランス】 音の特性はフラットで、低域・高域への伸びは共に素晴らしいです。現在所有でSolarisを除くHPAの中で、最高性能のmodel370CPよりもワイドレンジに感じます。

 

【音場】

音場は非常に広く、左右だけでなく奥行きや立体感も上手く表現します。定位は明瞭で音源の位置関係を把握するのは容易です。

 

【分解能】 音を分離する能力は高く、広い音場と合わさって一つ一つの音が非常に見えやすいです。情報量も多く、音場・分離・定位等も含めて極めて高い分解能を持っていると言えると思います。 また、個々の情報を掘り下げる能力も高く、音色の描き分けもとてもうまくこなします。

 

【音の描写】 低域はふくらみを感じさせることは一切なく、良質な低音を鳴らします。中域も見事な描写で、様々な音源の音色を巧みに描き分けます。高域はどちらかと言えばやや細身ですが量的に不足はなく、荒れなどを感じさせることもまずありません。 全域において色付けは非常に少なく、所有機ではmodel370CPの次に色付けの少ない機種です。但し印象としては無色というより、誇張が無い自然さの方がしっくりきます。

 

【駆動力】 どんなヘッドホンを持ってこようが余裕を失いません。恐らくヘッドホンとしては最悪レベルで駆動しにくいHifiman HE-6ですらやすやすと駆動します。 但しその高い駆動力と出力が要因となり、高能率のヘッドホンは少しボリュームを上げるだけで爆音になります。実用に耐えないというほどではありませんが、基本的には低能率のヘッドホンを鳴らす為に使用したほうが無難です。 また、低インピーダンスかつ能率があまり高くない機種との相性が良いようで、手持ちの機種だと特にTH900やHE-1000seとの相性は特筆すべきものがあります。また、現状では特に相性の悪い機種は無いようです。

 

【総合的な印象】 恐らくこの機種を一般的な真空管HPAとしてのイメージで聴くと大きく裏切られます。色付けはとても少なく、背景も非常に静かでノイジーさは全くと言ってよいほど感じられません。全体的にバランスが良く、基礎性能の高さが前面に出た機種です。

個人的な印象として、マス工房のmodel370CPが純水ならば、Solarisが軟水のミネラルウォーターという感じでしょうか。 かろうじて音色の描写の巧みさや音のしなやかさに真空管らしさを感じ取れるような気はしますが、精々そのくらいです。真空管だからとかではなく、単純にアンプとして基礎性能の高さが素晴らしく、聞いていて本当に良いアンプだと感じます。

入出力の数からみても分かる通り汎用性も非常に高く、操作系も非常に合理的かつ直感的にわかりやすい造りで、使い勝手についてもしっかりと考えられた機種だと思います。