東京遠征記⑨ TIAS編 其の6~アッカ(YGアコ)、エレクトリ音響(Magico)、TAD(REFERENCEシリーズ)

TIAS編 其の1~TAD、アーク・ジョイア、タイムロードはこちら
TIAS編 其の2~Accuphase、Luxman、ゼファン(BAYZ)はこちら
TIAS編 其の3~ステラ(Wilson Audio)、ゼファン(Marten)、ノア(Sonus Faber Suprema)はこちら
TIAS編 其の4~Phasemation、Linn、Esoteric、太陽インタ―ナショナル
TIAS編 其の5~ナスペック、エイアンドエム(AirTight)、AXISS(FYNE AUDIO)

 TIAS編において、各ブースの試聴記としては最後の記事(明日に総括の記事を書きそれが全体のラストの予定)です。

17.アッカ
スピーカー:YG ACOUSTICS Sonja3.2
再生システム:Sforzarto DSP-VERA(ネットワークプレイヤー)、Krell Illusion(プリ)、Krell KSA-i400(パワー)

 再生システムの方は確認を忘れていて、撮った写真から調べていますが多分合っていると思います。
 途中入室だったのですが、まず部屋に入った瞬間に高域に荒れを感じで、「おいおい……」と思いながら席に着きました。
 YGのスピーカーの評価の高さを知っていただけに、頼むから気のせいであってくれと思いましたがその願いも虚しく。
 それからちょっと後に実演曲の盛り上がり部に入ったところで完全に破綻、とにかくうるさいだけの音になって「うわあ……」としか言えない状態に。
 しかもこれ、オーケストラの弱音部から一気に最大まで移行する時とかそういうレベルじゃなくて、ポップス曲のBメロからサビへの移行です。
 多分このうるささはスタッフの人も感じてて、実演中ずっと何度もボリュームを調整してました(ほぼ無駄な努力に感じましたが)。
 その他にも、全体的に焦点がぼやけ気味、低域の質感が軽い(量感はそこそこ)、音像の周辺情報が少ない、空間の周辺情報が少ない、音に余裕が無い等とにかくネガばかりが気になります。
 音にリアリティがあるかとかそういう以前の問題です。
 セッティングが決定的に間違っていたか、はたまた再生システムあるいは電源などに問題があったのか。
 理由は定かではありませんが、巷のYGのスピーカーの評価を考えれば、ほぼ完全に破綻している、本来の良さを全く出せていないと言って良い音になっていたように思います。
 という訳で、YG ACOUSTICSのスピーカーについては、これではほぼ評価することが不可能という結果となり残念でした。
 

18.エレクトリ/日本音響
スピーカー:MAGICO M7
再生システム:McIntosh  MCD12000-AN(SACDプレーヤー)、C12000-AN(プリ)、MC2.1KW-AN(パワー)

※写真は撮り忘れたためにありません

 とにかくどんな音を鳴らしても余裕がある音という印象が一番強いでしょうか。
 情報量も確かですし、微細領域も見えます。
 低域もこの日聴いた最上位群と比較するとやや実体感が落ちると感じましたが、それでも上位グループ。
 全体的にオーディオとしての性能が高い事はひしひしと感じられるのですが、どうしても最後までスピーカーの音という感覚は無くなりませんでした。
 恐らく今回のTIAS2024において、他者の評価と自分の感覚が最も乖離していたと感じたスピーカ―及び再生システムです。
 太陽インターナショナルの回でも書きましたが、恐らく私の認知の中で欠落してる物があって、それが理由で良さが分からなかったのでは、というのが今の所の仮定。
 この件については、総括でも触れたいと思います。

19.TAD其の2(REFERENCEシリーズ)
スピーカー:TAD-R1TXLTD
再生システム:TAD-D700(SACDプレイヤー)、TAD-C700(プリ)、TAD-M700(パワー)

 訪れた最後のブースで、今回のTIAS2024は偶然にもTADで始まりTADで終わる事となりました。
 ブックシェルフよりは改善していますが、やはり音が重いというか飛んで来ない感覚は相変わらずです。
 また全体的に音に自由さを感じないというか、強制的に制動を効かせて纏めているような窮屈さを感じてしまいました。
 音場についてはスケール感はブックシェルフの方に比べてかなり改善していますが、空間の周辺情報はあまり見える感じはありませんでした。
 微細領域の見え方についても、この日聴いた上位陣と比較すると少しではありますが明確に落ちる印象です。音の消え際の処理もやや唐突感がありました。
 音の質感についてもあまり良いとは感じられず、聴いてすぐにスピーカーの音だと感じる音でした。
 TIAS編の一番最初の記事でも書きましたが、リスニングポイントに非常にシビアな様で、私が最初に座っていた席(中央から左に一つずれた席)では完全に音の定位が破綻していました。
 その後に、後方の立ちの中央に移動すると改善したので、前後方向はそこまででもありませんが、左右は殆ど無いと言っていいレベルで許容範囲が狭かったようです。
 なお、上記の音については当然音の定位が安定して聴けた位置での感想です。

【編集後記】
 これで今回の東京の旅の、TIAS編は全て終了です。改めて記事にしてみると、訪れたのは延べ19ブースとかなりの数だった様です。
 それでも聴いておけば良かったと後悔したブースがいくつかあるので、全てを網羅しようと考えるならば、1日で周るのは流石に無理筋なのでしょう。
 ですがそれでも、多くのブースで様々な気付きがあり本当に得るものが多く、自分の認知を広げるという目的も予想以上に達成することが出来たと感じています。
 実は今回の試聴において、他にも裏のテーマがあったのですが、その辺りも概ね達成できたと思います。
 その辺りについてや、エレクトリ、太陽インターナショナルのブースで感じた事と一般的な評価の乖離、そしてそれら気付きから思索した事等について総括を書いて締めくくりにしたいと思っています。