以前音源のクオリティについての記事を書いたのですが、とは言えじゃあもし自分で工夫するならどうするか?と言う事でチャレンジしてみました。
研究材料は水樹奈々のETERNAL BLAZEと、THE MUSEUMの中で同等以上にやばそうだったSUPER GENERATIONをチョイス。
X(旧twitter)で挙げたGARNET CROWでやらないのかって?ごめんなさい、あれはどうあがこうと無理です。アルエも同様。
上記二曲を、どんな特性が望ましいか考察すると同時に、可能な限り心地よく聴けるヘッドホンを手持ちの中で探してみます。
まずはこれらを聴き込んだうえで、私なりに何が問題点となっているかを列挙してみます。
再生環境はDA-N5>Premier HPAを中心としたいつもの据置環境です。
・音の微細情報が壊滅している。その為どの音もべた塗感がある、のっぺりしている。
・位相情報が殆どなく、音の定位がおかしい。上下と奥行きがほぼない。
・ボーカル以外の音の序列がおかしい、というか殆どない。全てが同じ様に主張してくる。
・ボーカルもそこまで前に出てくる感じでは無いので、下手をすると埋もれがちになる。
・中高域~高域が硬く尖っている。特にピアノの高域やシンバル、ハイハットなどが痛い。
・低域に歪み感が有って、バスドラ、ベースの音が変質しているように聞こえる。過剰処理気味?
主に挙げられるのはこんな所。聴ける範疇とは言え、よくよく聞いてみると良い所が無いなおい。
この状態を鑑み、どんな対処をするべきか考えてみます。
・ドンシャリ系のヘッドホンは避ける。低域と高域に問題があるので、そこを目立たせてはいけない。
・音が若干柔らかめの機種を使いたい。エッジが強いヘッドホンだと高域が尖り過ぎてきつい。とは言え、柔らかすぎると今度は低域がぶよぶよに感じたり、序列の無さからくるの混沌具合に拍車をかけるので、あくまで適度が望ましい。
・ヘッドホンの基礎性能を上げるのはあまり意味が無い。ヘッドホンの性能が上がっても拾える有効な情報があまり増えない為。むしろ違和感の種ばかりが増える。
・基礎性能はそこまで必要としないが、音の分離能力だけは必須。下手をするとボーカルが埋もれる。
・音場型のヘッドホンは定位が死んでるのであまり意味が無い。出来れば音像型のヘッドホンを使いたい。
・下手に音場が広い機種を使うと、だらっと横に長いだけの定位になるので、むしろそこまで広くない方が良い。だが、狭いと今度は定位の悪さと相まって混沌としてしまうので駄目。
・高域脚色系は避けたい。ただでさえ尖っている高域との相性が読めない、というか殆どの場合で悪い方向に行ってしまう。
・静電型は避けた方が良い。このタイプの打ち込み系の音は、とにかく静電型との相性が良くない。また、ボーカルを含むアコースティック系との能力差がある為、両者が乖離しすぎて違和感が強くなる。
以上を鑑みて色々と試してみました。その中から、そこまで悪くなかった機種を紹介。
1.Steven Slate Audio VSX
悪くない。特に音場を重視してはいない傾向、色付けの少なさ、一定以上の基礎性能委の高さ、フラット傾向等が上手くマッチしている。
だが、悪さはそこまで目立たないが、じゃあ良い所はあるかと言われると厳しい。できれば、ボーカルをもう少し魅力的にしてほしい。
2.German Maestro GMP450
あまり良くはない。フラット傾向、音像の線の細さから来る分離能力の高さなどは有効に働くが、言ってしまえばそれだけ。魅力に乏しい。
3.Focal Utopia
悪くはないが、正直Utopiaが必要かと言われれば必要ないよねえとは思う。その能力を殆ど生かせない。
あと、私はギリギリ許容範囲だが、高域周りは結構痛い。駄目な人も多そう。
4.Kennerton THROR
手持ちの中ではかなり良い方。音源のネガをそこまで目立たせず、ボーカルをちゃんと分離し、そこそこ魅力的に聴かせてくれる。
だが、THRORの能力が必要かと言われればやっぱり必要ない。上手くはまってはいるが、オーバースペック感は否めない。
5.Acoustic Research AR-H1
最終的にこれがベストマッチではとなった機種。必要十分な基礎性能があり、高域と低域の問題点がそこまで気にならない。
音像型という程では無いが、音場が売りでも無く中庸といった感じなので、横方向に散漫になることも無い。
平面型にしては珍しくほんのり暖色傾向かつ柔らかめの音の為、全体的に痛さを緩和しつつボーカルもそれなりに艶っぽく聴かせてくれる。それでいてクリアさはちゃんとある。
問題は全く人気が無く早目にディスコンになったので、新品で入手不可かつ中古でもまず出てこない事か。
以上です。色々と試して感じた事は、割と平面型で合う機種が多そうだなあと。
勿論一口に平面型と言っても色々と有りますが、大まかな傾向としては向いているかなと。
得に鋭すぎず柔らかすぎない音の輪郭は結構どの平面型でも共通している事が多いので、その辺りが上手くマッチしていると感じます。
ダイナミック型ではより輪郭がはっきりすることが多いので、結構痛い音になる事が多いでしょう。試聴した記憶からはGRADOの木系のヘッドホンは悪くなさそうな気もするのですが、音のエッジがやはり気になるところ(私はSR325iしか持って無いので……)。
静電型だと、輪郭が一番見えないのでアコースティック系は良いのですが、打ち込み系がやや散漫になる傾向があり、このような音源では収拾がつかなくなるでしょう。
参考にするには一般的でない機種ばかりなってしまい申し訳なさもあるのですが、ここから傾向を読み取っていただければと思います。