今回はKennertonのOdin Thridiの簡易レビューです。
現在Wodanというヘッドホンが後継機だと思われ、Odin Thridiは既にディスコンです。また、この機種は日本に入って来たOdinの3代目の機種です(Odin Thridiは入ってきていない筈)。
重さは初代よりも多少改善されましたがそれでも580gもあり、樹種や個体差で600gを超えます。
以前書いたように、Odin Thridiは自宅の環境でじっくり聴くことが出来る機会に恵まれました。
何故そんな機会があったかと言えば、Throrを購入した際に、送られてきた商品がOdin Thridiだったからです。嘘のような本当の話。しかも買ったのはKennertonのオフィシャルのオンラインショップです。
先方には写真等を交えて状況を伝えたところ、相手方も何でそんなことになったのか分からずかなり驚いていたようですが、すんなり交換対応してくれる事になりました。
そして、「お詫びと言っては何ですが、Throrが届くまではOdin Thridiで音楽を楽しんでください。出来れば、そのレビューも書いてくれると嬉しい。」との事だったので、その時にある程度聞き込んだわけです。
今回の簡易レビューはその際に先方に送ったレビューのテキストが元となっています。
と言っても、当時はDACがPrism Sound Lyra2で、手持ちのヘッドホンも同クラスの物はHE-1000(初代)のみ、アンプはマス工房model370CPがメインという状況でした。Lavry DA-N5もAudioValve Solarisも持っていない頃です。
ですので、当時感じた事は現在の環境で比較すればまた違った内容となるでしょう。
という訳であくまで簡易レビューという形で当時書いた内容を箇条書きで記し、必要であれば現在の自分としての意見を赤字の注釈で入れるという形にします。
鳴らした環境は、Prism Sound Lyra2 > マス工房 model370CPです。
【Odin Thridiの簡易レビュー】
・低域の表現は素晴らしい。かなり質の高い表現。
・ボーカル及び中域の表現も秀逸。滑らかな音質で刺さるようなことは皆無(録音で意図的にそのようになっている場合を除く)。
・HE-1000と比べれば、中域は一歩前に出てくる印象。
・低域、広域の伸びともに非常に良い。ハイエンドとして申し分ない表現。
※Throrと比較しても僅かに上下ともに落ちる印象だったので、現状のハイエンドと比較すると分が悪いでしょう。あくまで当時の私の環境で出せる限界までは出せていたという事です。
・高域は質・量ともに十分。HE-1000と比べるとやや控えめに感じるが、どちらかというとHE-1000の方が脚色気味か。
・サウンドステージはHE-1000と比べれば狭い。
※HE-1000比でなくとも、やはりこのクラスで言えば音場は明確に欠点となるでしょう。
・分解能は極めて高い。音の分離、細部の表現ともにハイレベル。
・音の厚みは十分あるし、迫力のある表現も上手い。
・HE-1000が広々とした空間や解放感を感じさせる表現とすれば、こちらは密度感のある表現。
・弦楽器については非常に良い。特にしなやかかつ安定感のある表現が魅力。そういう意味ではバイオリンよりもチェロの方が得意か。
・ボーカルについても非常に良い。しっかりと前に出てくるし、男声・女声ともに高い表現力を持っている。
・ギターに関してはもう少しカッティングの際のギターとピックが擦れる感触等の弦をはじく感じが欲しいが、それでも全体的なバランスで見れば悪くない。
・打楽器に関しては非常にうまい。音圧もあるし低域の表現も良く、実体感のある音になっている。
・特に情報量が素晴らしく、音源によっては素晴らしい再現度を誇る。
・低域の解像度と音色の描き分けが素晴らしく、ここまで表現出来るヘッドホンはそうそうない。
・打楽器の破裂音や、エレキギターのハイゲイン時の空気を切り裂くようなディストーションといった、音圧が重視されるような表現については随一といってもいいかもしれない。
・逆に音をつぶしてしまっている音源については容赦なくそれを暴いてしまう。
・重さについてはいかんともしがたい。公称580gだが実測で612gあった。これはおそらく使用している木材で変動するものと思われる。今回の物はゼブラウッド。
・全体での印象として、高い基礎性能をベースにしつつ、全体の表現よりも一つ一つの音にフォーカスを当てた表現に重きをおいている。勢い、ノリの良さ、熱さ、といった類の表現がとても得意なヘッドホン。ロックやパンクといったジャンルとは相性抜群
・Throrと比較した時、確かに基礎性能については若干Throrの方が良い物の、クラスが違う程とまでは感じない。また、Throrよりも強みを持っている部分もあり、セカンドベストのヘッドホンとはいえ、単純な上下関係ではなく特性が違うほぼ同クラスのクォリティを持っているヘッドホンだと言える。
※これについては、ケーブルの変更、DACの変更、アンプの変更等についてこれるかどうかが未確認なので、あくまで以前の環境ではという話です。Throrは環境を整え色々と試行錯誤を重ねることで応えてくれましたが、Odin Thridiにそれだけのポテンシャルがあるかどうかは分かりません。