先日東京に行ってきまして、少し時間が取れたのでeイヤに試聴に行ってきました。その感想を今回はまとめたいと思います。
まずはヘッドホンの試聴から。
Audeze CRBN2
試聴した構成はEsoteric N-05 XD > LTA Z10e > CRBN2、音源はQobuzより。
全体的に基礎性能は高く、かつ静電型が得意とする輪郭の自然さはやはり特筆すべきレベルにある。
弱点になりやすい低域の表現もかなり良くなっていて、「静電型としては」というエクスキューズはもう要らなくなったと言えそう。
音場も広大とまではいかないが十分広く、定位も明瞭。
しかしながら、今回の環境では微細領域の情報量が今一つで、そこだけが残念だった。
もっともこれは、CRBN2の瑕疵と言うよりは、上流の問題な気もする。特にN-05 XDそのものの実力と、無対策っぽいネットワーク周りが悪さをしてそう。
個人的にはLTA Z10eにもそんなに良いイメージは無いのだけれど、現状静電型用のアンプで、ガレージメーカーや個人製作でない、現行品であるという条件だとこれ以上のものはほぼ存在しないので仕方がない。
今回の試聴環境は割と頑張っている方だとは思うけれど、それでも力不足感が否めなかった。
ここからのイヤホンの試聴は、全て手持ちのCayin N8 Brass Blackのバランス接続。
ポタのガチ構成も持参していたのですが、C9の電源が入らず断念。充電は出来ていたので油断しました。
DITA Audio Ventura
全体的な基礎性能が高く好感が持てる。やや脚色気味な感は否めないが、トータルで見ればニュートラルよりと言ってよい範疇。
低域の質感は悪くは無いが、制動が若干甘い感がある。とは言え、ここはアンプやDACの性能を上げれば改善しそう。
音場がかなり広く明確な長所と言え、他機種と比較しても優位な点と言える。
微細領域も割と拾ってくれる。やや脚色で補っている感が否めない点もあるが、それでも頑張っている方だと思う。
このように性能だけを見れば良い機種であることは確かだが、いかんせん価格が高すぎる。
実力が高いのは確かだけれど、価格に見合うかと言われると首をかしげざるを得ない。
final audio design A10000
基礎性能が非常に高い。特に音の芯のクオリティが高く、これまでのイヤホンでは超えられなかった一線を超えている様に感じる。
音質の傾向は極めてニュートラルに近いと言えそう。微細領域の情報量も結構拾うし、低域や高域への伸びも申し分ない。トータルでの分解能はかなり高いと言える。
上記Venturaと比較すれば音場の広さはややコンパクトだが、一般的な観点から見れば特に狭い訳でも無く、クラス相応の物は持っていると言える。
個人的には、イヤホンにおける新世代の機種と言ってよいと思える出来。今後、これを基準に各機種の基礎性能を判断することになりそう。
Madoo Typ 930
これまで平面一発の機種で高い評価を得ていたメーカーが手がけるハイブリットという事で、割と興味があった機種。
だが、聴いてみるとかなり残念な音だった。
まず、低中域の質感と高域の質感が違いすぎて違和感が凄い。高域の音の輪郭が強く、そこも違和感を感じる要因になっている。
Madooが出したという事で割と期待していたのだが、むしろこのメーカーの音をまとめる力に疑義を持たざるを得ない結果になった。
Noble Audio Kronos
最初はハイブリッド特有の質感の違いとか、時間軸の不揃いなどがほぼ気にならず、ついにハイブリッドで有力な製品が登場したかと感じた。
しかしながら、いくつかの音源で試してみると、明らかに音の主従関係が破綻する曲があり、ああやはりハイブリッドだったか……となった。
とは言え、そのあたりの破綻が出ない曲であれば、個人的には聴いていて特に問題ないと思える初めてのハイブリッドの機種ではある。
だが、それが価格に見合っているかと言えばそれはまた別。基礎性能がそこまで高い訳でも無く、少なくとも上記A10000やVenturaと比べればかなり苦しい。
ここからはDAPの試聴です
iBasso DX340
所有のN8 BBやこれまで試聴してきたクラスからはワンランク下の価格帯だが、最新世代という事で試聴。
しかしながら、音場が上下に狭い、情報量が多くは無い、音の分離にやや不満が残るとあまり芳しくない音だった。
また駆動力の低さも問題で、確かに試聴に使った糸竹管弦は鳴らしにくいイヤホンではあるが、それで全てのゲインをハイにして、音量が58がMAXの中48~49辺りにしないと適正な音量にならなかった。
私は基本的にあまり大きな音でならさない、むしろ情報を集める限り小さめの音で鳴らしている方だと思うので、人によっては普通に音量が足りない問題が出そう。スペック上の出力は十分なはずなのだけど……
別にDAPなのだから鳴らしにくいヘッドホンを爆音で鳴らせる様な出力は必要無いとは思うが、流石にイヤホンならば負荷が重い方であったとしても余裕を持って鳴らしてほしいと思う所。
糸竹管弦が鳴らしにくいと言っても、ヘッドホンで言えば鳴らしやすい部類に入るFocal Utopiaと同程度な訳だし。
ポタのDAPに関して、新しい機種が出るたびに色んな人がやたら進化を語るけれど、個人的には頭打ち感を強く感じている。
以前はそれをハイエンドだけの問題かと思っていたけれど、この機種を聴く限りそれはミドル~ミドルハイクラスまで通じる問題だと言えそう。
今後何かしらのブレイクスルーが無いと、中々厳しそうに感じる。
Fiio M27
前機種のM17から比較すると大幅に良くなったと感じる。
M17のPOは問題を感じるレベルで情報量の欠落があり、特に音色の描写に不足感が強かったが、M27はあっさり風味ではあるものの、このクラスでは一般的な範疇に収まっていると言えそうな位には改善した。
音の分離や音場の広さ、定位の明瞭さなどは良好。音の輪郭の強さは相変わらず感じる。
M17から改善したことは良いことだし、その改善幅も小さいものではない。けれど、価格とその筐体の大きさ・重さを正当化できるかと言われると微妙な所。
恐らく、ポータブルでのDAPとしての運用をメインだと考える人にとっては、かなり厳しいと思われる。
この機種の特徴であるDC電源と接続した際のHYPER DRIVEモードと、多様な接続性を活かした据え置き運用の比重がそれなりにあり、かつそこに価値を見出せて初めてこの機種の良さが出てくると思われる。