日記 輸入代理店と並行輸入

 最近更新が滞っていました。まあ、普通に時間が取りづらい状況が続いているのもあるんですが、この記事を書くかどうか悩んでたというのも大きかったりします。
 恐らく今回書く内容は、一般的にはあまり受け入れられない可能性が高いです。だからこそ中々書く気になれず、記事化するかどうかすら悩んだわけです。
 ですけど、これを書かずに更新を続ける方が仮に一時的には楽だったとしても、自分なりに筋を通せなかったという感覚が残り続けると判断したため、きちんと記事にしたいと思います。

 まず、私は海外製品の輸入代理店に関して、大まかに見れば批判的な意見を書いている事が多いと思います。
 確かに輸入代理店をする以上そこに手数料を乗せるのは理解できるものの、それが為替換算価格から5割増しとか果ては2倍とかになると、流石にそれはどうなのと思いますし、そのことに対して批判の声を上げるのは大事だと思うからです。
 ですが、並行輸入品や個人輸入品(以下”並行品”でまとめる)の修理サポートなどについては、また違った感想を持っています。

 最近Xで、並行品の修理を受け付けないことや、正規品と比較して割増料金を取ることに対して批判的な意見や、果ては妨害行為とまで主張するポストを見かけました。
 私はこれについては、まず並行輸入品を取り扱っているお店や個人輸入の際に購入したお店で対応を求めるのが筋であり、その次にメーカーに直接問い合わせるべきだろうと考えています。
 そこまでやって、メーカーから個人からの問い合わせは受付していないので、並行品であっても正規代理店を通してくれと言われて初めて、正当に頼る資格を得られると思うのです。
 言語の壁があるとか送料がーとかいう理由は、いわゆる「正当な理由」には当たらないと考えているという事ですね。いやそれを選択したのはあなたでしょ?としか思わないのです。
 もちろんそういった手続きを経ずに、正規代理店に対応可能かどうかを問い合わせることは自由です。けれど、それは断られても何ら文句は言えないと私は考えています。
 また、仮に受け入れてもらえたとしても、正規品を買った顧客よりも割増になるのは、場合によってはむしろ当然だと考えています。
 例えば正規品を買った顧客に対しアフターサービスとして修理をする場合、ほぼ利益を乗せずかかる経費だけで受けている様な場合です。その場合は正規品を販売した時の利益の中に、アフターサポートの料金の一部も含まれていると考えられるからです。
 至極当然の話ですが、一般的な企業に対して、利益の出ない仕事を強制することはかなり無理筋です。上記のような場合、正規品を購入していない相手であるのならば、修理といえどちゃんと利益を乗せて請求するのはむしろ当然の権利と言えるでしょう。
 と言いますか、そこに差異を設けることは、代理店が自分たちの顧客を大切にしている証と言うことも出来ます。並行輸入品を買ったり個人輸入をしておきながら、サポートだけは正規代理店を頼る、しかも正規品を買った顧客と同じ水準を求めるというのは、フリーライドと言われても仕方ないでしょう。

 この辺りについては、独占禁止法に抵触する可能性を指摘し、並行品であっても同様に対応する代理店もあるようで、それはそれで立派ですが、その例を持って他の代理店も同様の対応を要求すべきだとはどうしても思えないのですよね。
 実際にそのあたりに関して、公正取引委員会に対する企業からの問い合わせとその回答を見ていても、下記の項目が満たされていないければその主張は通らない可能性が高いです。

・購入者本人や並行品を扱っている販売者に、修理対応出来ない特段の事情がある。
・割増の料金を取る場合、その額が並行輸入品との価格差を実質的に無いものとし、競争性を失わせるレベルである。

 前者で言えば、先にも書いた通りもし修理を依頼したいのならば正規代理店以外のルートは受け付けない、修理部品なども供給されない場合で初めて認められると思われます。
 少なくともメーカーに直接問い合わせをすれば受け付けてもらえる状況で、更にそれに対して代理店が何ら介入を行っていないのであれば、特段の事情があると認められる可能性は低いのではないかと推察されます。
 ましてや海外からの個人輸入で、購入したお店が現地では正規取扱店だった場合などは、普通にそこで修理サポートを受けてくださいで終わりでしょう。
 後者の場合は実例として、正規品が15万円、並行品が10万円だったとして、ある修理に関する料金が正規で5万円の所並行品では10万円を請求されるとなると、その修理代の差額5万円で正規品と並行品の差額が埋まってしまうので、独占禁止法に抵触すると言えるでしょう。
 むしろ公正取引委員会は、正規代理店は自らの取扱量に応じた修理体制を整えることが通常だと考えられるため、客観的な事情があれば並行品の修理を拒否したり差異を設けても、そのこと自体が直ちに独占禁止法上問題となるものではないとすら言及しているのですよね。

 またちょっと視点を変えると、電源回路を有する製品についてはPSE法の問題があります。
 たとえ国外と国内で販売されている機器の内容が全く同一だったとしても、平行品に関してはPSEマークの記載がされていない場合があります(代理店がシールを張ったりして対応している)。
 そしてPSEマークのない製品を修理することは原則として違法となります。それは代理店側にとって明確に大きなリスクであり、絶対に回避しなければならないことです。
 もちろんPSEマーク表示義務の無い製品も多いですが、表示義務のある製品も取り扱っている代理店であれば、製品ごとに修理できるかどうかの対応を変えることは大きな負担になるでしょうし、窓口でトラブルになるケースも多くなることが予想されます。
 そうであれば、一律で並行品に関しては修理を受け付けないとすることは、リスク回避の観点からすれば割と妥当な判断なのではと思う所です。

 上記を踏まえた上で、代理店が明らかにまずいと言いますか妨害と言えるレベルの対応となると、本国メーカーに対して自分たちを通さない修理を全て断るように仕向けた上で自分たちも修理を断る(実質的に修理不能の状態を作り出す)とか、並行品と正規品の価格差が埋まるあるいは超える位に修理費用に差異を設けるといった場合に限られるのでは無いでしょうか。
 巷の情報から推察する限り、そこまでやってる代理店はほぼ無いか、たとえあったとしても極めてレアなケースだと私は考えています。
 独占禁止法に抵触するような行為はあまりにリスクが高いので、常識的な企業ならばそんなリスクを犯すとは思えないですしね。なので、並行品であったとしても、本国メーカーに直接問い合わせれば普通に対応してもらえる可能性が高いと推測します。
 そしてもしそれが可能ならば、代理店に修理を断られた事について文句を言うのはお門違いなのではと感じます。あなた自身がそれを選択したのですから、自分の尻は自分でぬぐいましょうという事です。

 確かに一般的に見れば、輸入代理店と一般消費者では、様々な面で大きな差異があります。
 いくら法律上対等となっているとはいえ、どうしても消費者側が弱者としてとらえられるケースも多いでしょう。
 けれど、輸入代理店側に通すべき筋があるように、消費者側にも通さなければならない筋はあるはずです。自分たちは弱者だからと居直って良い訳は無いのです。
 特にSNSが普及してから、無理筋の要求を行う消費者が目につくようになったとともに、それに賛同する人も増加しているように感じてしまいます。まあ、今まで目につかなかった人が目につくようになっただけなのかもしれませんが。
 そういった行為が、ごく短期的には利益に結びつくこともあるでしょう。けれど、結局そういった面で筋を通せない人は、長期的に見て大きな不利益を被る可能性が高いと私は考えていますす。
 少なくとも、代理店に限らずお店側から「厄介な客」として認識されれば、いずれ殆どの場合において対価に応じた最低限のサービスしか引き出せなくなるでしょう。
 そしてそれをお店側のせいにするのは、いくらなんでも他責に過ぎるというものです。