2025/2/21追記
※この内容は基本的な機能面が中心ですので、続けて書いたその7も併せてお読みください。
試用期間が2週間という事で、あまりゆっくりもしていられないと急ピッチで検証を進めております。
取り敢えず音質については一番最後、ある程度音に慣れてから総括したいので、今回は使い勝手等についてです。
最初に書いておきますが、割と辛辣と言いますかダメ出しの連続になっているので、それを見るのが嫌な方はブラウザバック推奨です。
私はこれまでそれなりに長く、多くのオーディオプレイヤーを使用してきたと思います。
ざっと覚えているだけでも、一番最初のWindows Media Playerに始まりWinamp、Sound Player Lilith、foobar2000、iTunes、Bug Head、MediaMonkey、MusicBee、JRiver等が有ります。多分記憶にすらないマイナーどころを合わせればもっとある筈です。
そして現在メインで使用しているTuneBrowserにたどり着き、更に今回Roonの試用に至っています。
ですが過去に利用したプレイヤーで、機能やUIに優れているなと感じたプレイヤーは残念ながらありません。プレイヤーの中では最上位であっても、一般的な観点から見るとまあ平均的~やや良いと感じる位が精々です。まずそのことが前提となります。
ではRoonはどうかと言えば、プレイヤーの中では良い方の部類には入るけど突出してはいない、個人的な好みを合わせるとむしろ使い勝手が悪くストレスを感じる面も多々ある、という具合でしょうか。
以下私が感じた事を書いていきます。
1.Roonの日本語ローカライズについて
使用言語はデフォルトは英語ですが、日本語が最初から選択肢にありますので、日本語化は容易です。アドオンをダウンロードするとか、日本語化キットを使って云々とか、そういう手間は必要ありません。
ですが、所々に拙い訳や意味が分かりにくい訳(MQAの設定項目とか何なのあれ)等もあり、上手くローカライズ出来ているとは言い難いです。
果てには、日本語化されず英文そのままになっている項目も僅かですがあったりします。
これがフリーソフトや有料ソフトでも1万円前後程度までなら特に何も思わないのですが、サブスクリプションで月額約15ドル(1年払いなら12.5ドル/月)、買い切りが約830ドルのソフトウェアとしては正直言って褒められたものではありません。
2.UIについて
UIは一見するとモダンなUIといって良い様に見えますが、実際に使用してみるとあまり使用者の操作負担の軽減を考えられているように思えず、見た目を重視しているだけに感じます。
例えば自分でプレイリストを作る際に、左側ペインから曲探しを始め、目的の曲を見つけたらリスト表示されている曲の右端にある・・・をクリックしてメニューを開き追加操作、そしてプレイリストを確認するためには左側ペインにあるのでまた左側に行って~と、長いマウス移動を繰り返す羽目になりますし、クリックさせられる回数も多いです。
また、正直って直感的とは言い難い、どこに有るか分かりにくい項目も有って、DSPの設定を探す際は本気で何処にあるか分からず、最終的にはとにかくあるボタンを総当たりで押しながら見つけました。
そしてこれは好みの範疇の話というかwindows的思考と言われてしまうのでしょうが、右クリックに殆ど機能が持たされていないのはかなりストレスです。
多分各プラットフォーム間で操作性を統一するために敢えてなのだとは思いますが、右クリックにいくつかの機能を持たせるだけで操作性は大分改善されるだろうと感じるだけに、個人的には残念ポイントです。
3.Roonのメタデータについて
Roonでは、Roon独自のデータベースにあるメタデータを優先して使うか、ファイル側のメタデータを優先して使うかを選択する事が出来ます。
因みにデフォルトではRoonのメタデータを優先して使う設定になっているのですが、私的には全く使う気にならないです。実際、使って少しして速攻でwebで調べて設定を変更しましたからね。
一体どういう事態が起こるかと言えば、ちょっとマイナーな物や、下手すると割とメジャーどころですら曲名やアーティスト名などがローマ字表記になる事が珍しくありません。
そして中にはこんな表記になるものも。
お分かりでしょうか、アルバムタイトルや曲名が全て英語訳の表記になっています。使いにくいことこの上ないです。
これだと物凄くマイナーなアーティストやアルバムがむしろマシだったりします。Roon側のデータベースに情報が無くて、ファイルのメタデータを拾ってくれるので。
一応Roon側のメタデータを使いながら改善する方法も無い事は無いですよ?ですけど、各アルバムごとにRoonのデータベースに適当なデータが有るかどうかを確認し、何を使うかを選択して適用する必要があります。結局ファイルのメタデータを選択する事もある、というか多いでしょうけどね。
こんな行為をライブラリにある全てのデータに対して行うのは余りにも面倒で、全くやる気は起きませんが。
という訳で、私的には使えない認定の機能であり、メタデータの優先順位は基本ファイル側に変更して利用しています。
4.アーティストやアルバム等の情報の表示について
これはRoonの情報を調べた際に、色んな所で高く評価されていたので結構期待していたのですが、実際に使ってみると引っ張ってくる情報源が主にwikipedia 日本版という事で大分萎えました。
個人的にはあまり評価できる点では無いです。無いよりはマシ位でしょうか。
5.歌詞表示機能について
これも個人的に結構期待していたのですが、あまりRoon側にデータが無いのか、割とメジャーどころですら歌詞が無いことも多く、使えない判定を下しています。
例えばBump of ChickenのIris、RADWINMPSのFOREVER DAYS、米津玄師のBOOTLEGやSTRAY SHEEPといったアルバムでもデータがありません。
このレベルですら無いのですから、マイナーどころなんて推して知るべし。
因みに歌詞が有る場合は以下のように表示されます。
見やすさという点では良いのですが、デザインという意味ではかなり野暮ったく、やっつけ仕事に見えます。
せめてアルバムアートを表示しながら、下部に字幕的に表示するとかは難しかったのでしょうか。Roonのデザインとの統一性もあまり無い様に思いますし。
あとこれは細かい点かもしれませんが、フォントにもう少し気を使った方が良かったんでは。これも、野暮ったさに拍車をかけていると感じます。
6.Qobuzとの連携について
これは数ある機能の中でも酷さが際立つ部分です。百聞は一見にしかず、Qobuz上で用意されているプレイリストを表示してみます。
このように、多くの日本語の曲タイトルがローマ字表記になっています。この画像ではアーティスト名で変な物は有りません(空欄はあるけど)が、割と適当だったりします。米米CLUBがコメコメクラブとかね。後はやっぱり日本語表記がローマ字表記になっているアーティストも多数。
下手すれば、全部がちゃんとした表記になっている方が珍しいのではと感じるレベルです。
Qobuzのオフィシャルのアプリ内では殆どがきちんと表記されているので、Roon側の問題なのだと思います。
とは言え、Qobuzの方では海外のアーティストや曲タイトルがやたらとカタカナで表記されるという別の問題がある訳ですが。
Qobuzで英語名のアーティストがカタカナ表記されるという問題が解決さている様に見える点は良いのですが、如何せん日本関連のものがぐちゃぐちゃで、正直言って使う気になりません。
売りの一つの機能のはずですが、それがこのざまか……というのが正直な感想です。
先に挙げたRoon独自のデータベースのメタデータの件も合わせて、とにかくメタデータ関係は残念な出来になっているように感じます。
7.その他細かな問題点
Roonではアウトプットする機器を色々と選択する事が出来ますが、それを占有し続けてしまうという性質があります。
私はASIOのDante Virtual Soundcard(以下DVS)をアウトプットに指定しているのですが、これはRoonを×印を押して終了させても開放されません。
この状態で例えばTuneBrowser(音楽再生ソフトの一つ)を開いてDVSで再生しようとしても、Roon側で占有したままなので再生する事が出来せん。
開放するためには、タスクマネージャーなどからRoon Serverを終了させる必要があり、地味に面倒です。
これ、私のようにオーディオ再生しか行わないPCならそこまで問題ではありませんが、多用途に使っているPCだと色々と支障がでる可能性があります。
例えばRoonで音楽を聴いた後に、YouTubeを見ようとしたら音が再生されないとかが普通に起こる気がします。
ですのでそのような人は、音楽鑑賞用のアウトプットとシステム系のオーディオアウトプットは別系統で準備するのをお勧めします。まあ、面倒でないなら都度Roon Serverを終了させるでも良いんですけど。
後は、手持ちの機器でオーディオデータを保存しているHDDに相性問題が出ました。
Roonでデータフォルダを読み込む際に必ず途中で止まってしまう症状が出て、理由が分からず結構時間を食いました。
最初に問題の切り分けで、別のシステムからは読み込めるか?という事でTuneBrowserから確認して、問題なく読み込む事も再生する事も出来たのが逆に徒となりました。
結局その後色々と試した結果、最終的にまさかねと別のHDDで試したところ問題なく読み込めたので力が抜けました。一応HDD側に原因と言うか、相性問題が有ったのだろうと判断しています。
8.褒められる点は
coreとserverを分離する際に、core側からserverを探すのはかなり速く、ほぼ自動で設定できた点は良かったです。若干操作のレイテンシが気になりますが、まあ許容範囲といって良いでしょう。
デザインについても、ミュージックプレイヤーの中では優れている方だと言えるでしょう。
各種機能は上記の様に粗が目立つ部分は多分に有るものの、それでも無いのと有るのでは大きく違うため、多機能という点でも優れているとは思います。
9.総評
確かに機能性は高いですし、デザインも一見洗練されているように見えるのですが、使えば使う程粗が目立ちますし、デザインも細部まで徹底されているようには感じません。
操作性という面ではむしろ問題点も多く、UIとして本当に優れているかと問われれば疑問に思います。
個人的な感想を重視して言わせてもらえば、付けられているプライスタグに見合う出来であるとは全く感じません。
これが発売されたばかりのソフトウェアならばまあ多少はね?とも思えるのですが、割と長い期間アップデートを重ねてこれというのは……価格も価格ですし。
まだ評価の決定は保留にしている音質面についても、こういった面があったとしてもなお使う価値があるか?と問われれば今の所そんな感じもしないですし、今後それが覆る可能性も低いと感じています。
私の音楽鑑賞スタイルがそもそもソフトウェアの思想と合っていないとか、これまで使ってきたシステムは圧倒的にwindowsが多いとか、日本語圏在住であるとか、私自身とRoonとの相性が悪い面は多分にあるとは思います。
ですが、それらを差し引いても、その価格だけの価値が有るかと問われれば大いに疑問だというのが、今回試用してみての率直な感想です。