沖縄でオーディオをやっていると、スピーカーにしろヘッドホンにしろ試聴機会は極めて限られます。と言いますか、大半の機種はほぼ出来ないと言って良いレベルです。
そういう状況の為に割と無試聴で購入することが多いのですが、全く情報を調べずに買うという事は流石にほぼ無いです。
では、そんな中でどういう情報、レビューなら信頼できるのかという点について、私なりの考えを書いてみたいと思います。
1.間接比較が出来る
例えば私が持っていない機種として、Hifiman Susvaraについての情報を集めているとします。
そして、Susvaraのレビューを行っている人を見つけた時に、私が所有している機種についてのレビューを行っていないか探します。
ここで幸運にも私が持っている機種についてのレビューが有ったら、それを基準にして判断しやすくなります。ここでは仮にHifiman HE1000seとしましょう。
この場合、HE1000seに対する評価が、自分と一致しているかどうかはあまり重要では無いです。
この人はHE1000seに対してこう感じているという自分との差分を把握し、更にそれをSusvaraの音質評価にあてはめ、それならば自分はこう感じる可能性が高いな、と推測する訳です。
これは慣れると結構精度が高くなります。もっとも、最近は自分のサイトやブログを持って体系的にレビューを行っている方は多くは無いので、どうしても限られてはしまいますが。
2.多数の意見から共通部分を探す
一定数以上のレビューが為されている機種ならば、ショップの書き込みなどでもある程度判断できる部分は有ります。
勿論感じ方は人それぞれで、大なり小なり違いは有れど、多くのレビューがあればそれでも共通する部分というのは浮かび上がるものです。その部分に関してはまあ概ね信頼して問題ないだろうという事です。
例えばゼンハイザーのHD800は音場の広さ、Beyer T1(初代)は高域の表現力等が言及されることが多いので、それは自分が聴いてもそう感じる可能性が高いという具合ですね。
そうすればある程度その機種の核の部分は見えることが多いので、後は他の情報から細部を補完することも容易になります。
3.絶対基準による評価をしている人を参考にする
様々な機種のレビューをするにあたり、どうしても価格に応じたパフォーマンス評価という視点は外せません。
ですが、価格を考慮した相対基準でしか評価していない場合、あるいは絶対的な基準を持たず機種個別に場当たり的にしか評価をしていない場合、そのレビューに対する信頼性はどうしても低下します。
例えばゼンハイザーのHD25-1は、昔は良質な低域を持っていると評判の機種でした。
そして現行機種において、HE1000seは低域に関しては少し緩めで、ライバル機種と比較すればウィークポイントと言っていいかもしれません。
しかしながら、では両者を比較した時に絶対的な音質としては、低域に限ったとしてどちらが優れているか?となればほぼ間違いなくHE1000seの方が総合的に見て優れています。
両者の価格と登場した時代を考えれば、そんな事当然だと思うでしょう。
ですけどそれは程度問題で、ここまで極端では無かったとしても、絶対的な基準があるようには思えず信頼できないと感じるレビューは凄く多いです。
と言いますか、1万円~2万円程度のイヤホンの音質レビューで、「そんな文言Focal Utopiaにだって書けねえぞ?」と思うくらい美辞麗句を並べているレビューは結構普通に目にします。
確かに感性は人それぞれだし、どういう風に表現するのかも自由ではありますが、それが信頼が置けるレビューなのかどうかは全く別問題という事ですね。
逆に言えば、この絶対基準を大事にしてレビューを書いている人であれば、その人単体のレビューしか無くて、更に間接比較が出来る機種が無かったとしても、ある程度信頼して良いだろうと判断しています。
絶対基準を大事にすると、当然低価格帯の機種に対するレビューは厳しめの文言が並ぶことになります。
最近では一部例外がある事が判明しましたが、それでも基本的に多くの機種の性能は価格との相関が強いからです。まあ、その一部例外だって高いから良いとは限らないケースが想定外に酷い分野があったというだけで、良い物が高い事に変わりなかったりはしますが。
ですから、あくまで絶対評価を述べたうえで、但し同価格帯においての性能としてはどうか、という表現があるとより判断しやすくなると思っています。
大雑把に言えばこんな感じで、後はこれらの視点を組み合わせて判断しています。
こういうやり方で音質を予測し購入、そして実際の音を聴いてどの程度予測が当たったかを確認することで、結構予測精度は上がると感じています。
また、購入まではしなくても、ヘッドホン祭とかポタフェスとかのイベントに参加した時等に、色々と予測を立てて試聴することで経験値を積むことも出来ます。
参考になれば幸いです。